認知症の初期症状 どう対処すれば?

 「認知症」という言葉に、ぐらんざ診療所読者の中にはご自身の問題ととらえる方とご家族の問題ととらえる方と二通りあるのではないでしょうか?

 ご自身の問題と感じた方からお話します。脳がダメージを受けて記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたすのが認知症です。脳にアミロイドβたんぱくという物質がたまり神経細胞が壊され脳が萎縮するアルツハイマー病が認知症の原因の7割を占めています。他にも脳梗塞など脳血管障害を原因とする脳血管性認知症、脳の中に特徴的な構造物が出現し神経細胞が減少するレビー小体型認知症などさまざまな原因で発症します。

 早い段階で発見できれば進行を遅らせることもできます。ネット上には認知症の初期症状チェックシートがあります。「同じことを何回も話す・尋ねる」「物の置き忘れが増え、よく捜し物をする」(記憶障害)「以前はできた料理や買い物に手間取る」「お金の管理ができない」(実行機能障害)「ニュースなど周りの出来事に関心がない」「意欲がなく、趣味・活動をやめた」(意欲低下)―などの症状をチェックしていきます。

 もし、認知症が疑われるようなら早急に専門医に診てもらうことが重要です。薬物による治療法も確立されていますが、何よりも脳の活性するリハビリが大切です。認知症には古い記憶が残りやすい特徴があり昔の写真やおもちゃなどを用いて家族の思い出などを語る回想法、絵や工作、懐かしい歌を歌う芸術療法など様々ですが本人が親しみやすいテーマを選ぶことです。さまざまなデイケア施設など老人福祉施設がありますが、家に引きこもらず孤独にならないことが認知症の進行を遅らせる最も有効な手段と言えます。

 孤独にさせないよう認知症患者のご家族も気をつけてください。親御さんが認知症を疑われる時は捜し物をしている時にはさりげなく手伝うなど失敗を防ぐとか、落ち込ませずうまくいっていることを伝え怒らないことです。病院やリハビリ施設へ気持ちよく行けるよう促してください。


医療法人社団・飯盛会 倉光病院 院長 倉光 かすみ 先生


取材記事:ぐらんざ