気になる「めまい」まれに潜む重大な病気

 めまいの症状はよく、ぐるぐる、ふわふわ、ゆらゆら、気が遠くなるなどと表現されます。その原因は、内耳機能をはじめ、脳機能、体と足の筋力の低下、さらに体の位置や状態を感知する深部知覚という感覚の低下も挙げられます。

 それぞれの機能は加齢により低下していき、高齢になってそれがより進んだときにめまい、ふらつきが起こるのです。そのため高齢者のふらふらするめまいは、長引きやすいのが特徴です。

 高齢者のめまいの原因となる病気の3~4割を占めるのは「良性発作性頭位めまい症」です。内耳の中にある耳石が外れ、三半規管に間違って入り込んで起こることが非常に多く、頭を動かして耳石を元に戻す理学療法のエプレー法やレンペルト法で治療します。

 その他、バランス機能の衰えによる「加齢性平衡障害」は、バランス機能を鍛える訓練をして治療。脳血流が悪いために起こるめまいの場合は、血流を改善する薬を処方します。

 メニエール病、突発性難聴、椎骨脳底動脈循環不全症などもめまいを起こす病気です。また、ごくまれに脳梗塞、脳出血、消化管出血、不整脈のような重大な病気が潜んでいる可能性もあります。

 急にぐるぐる回るようなめまいがしたときの対処法には2パターンあります。めまいに伴う嘔吐や吐き気でつらいことが多いですが、めまいの症状だけの場合は30分から1時間横になって治まるのを待ってください。

 治らない場合や、ろれつが回らない、見え方がおかしい、手がしびれるなど、めまい以外の症状がある場合は、脳梗塞の恐れがありますので救急車を呼ぶなどして病院へ。

 「最近、一瞬だけどくらっとすることが時々ある」という人がいるかもしれません。日常生活に支障を来すときは、程度にもよりますが、一度は病院で検査を受けて、病気の度合いを確認しましょう。


千鳥橋病院 副院長、耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長
九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 特任講師 久保和彦先生


取材記事:ぐらんざ