明るい場所ほどまぶしい 年齢と共に増える白内障

 物を見るとき、カメラでいうレンズの役割をする水晶体という組織が濁ってくる病気が白内障です。

 症状は人によってさまざま。光がうまく目の中に入らずにかすんで見えるほか、光が入るときに乱反射し、まぶしく感じることがあります。明るい所のほうが見えにくいといえます。また、物がぼやけて見えたり、二重、三重に見えたり。近くのものが一時的に見えやすくなり、かけていた眼鏡が合わなくなることもあります。

 原因の大半は加齢です。60代で70%、70代で80%、80代でほぼ100%の人に白内障が見られます。それ以外には糖尿病、アトピー性皮膚炎の人もなりやすく、ステロイド薬を内服している場合もなりやすい傾向にあります。さらに、紫外線を浴び過ぎると白内障になりやすいことが分かっています。発症を遅らせるためには、UVカットグラスや帽子、日傘などで、紫外線を避けてください。パソコンやスマートフォンのブルーライトも目の老化が進むとされていますので長時間の使用は控えましょう。

 治療は、薬物療法と手術療法があります。薬物療法は点眼薬や内服薬で病気の進行を遅くしますが、症状を改善することはできません。生活に支障があれば手術を考えることになります。手術は、国内で年間約140万件と眼科の中で一番多く、熟練した医者が高度な機器を用いて顕微鏡下で行います。以前に比べ安全になりましたが、手術自体は非常に繊細です。

 手術では濁った水晶体を取り出し、眼内レンズを入れます。レンズは2種類。単焦点レンズは1カ所だけにピントが合い、見え方の質がよいです。ただ眼鏡を併用する必要があります。もう一つの多焦点レンズは、遠くにも近くにもピントが合いますが、見え方になじまないことがあり、夜間は光がまぶしかったり、にじんで見えたりします。手術の時期やレンズの選択、費用などについては医師と十分に話し合ってください。


なかよし眼科クリニック 院長 仲吉 則雄先生


取材記事:ぐらんざ