福岡市の推進事業 プレコンセプションケア

 30歳になった女性の中には、将来プランの中に妊娠・出産を考えている方も多いのではないでしょうか。コンセプションとは、新しい命を授かること。プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。福岡市プレコンセプションケア推進事業は、若い女性の健康増進と次世代の子どもたちの健全な育成を目的に、AMH(抗ミュラー管ホルモン・30歳ごろから減少)を測定し、AMHの結果説明と健康へのアドバイスを受けることができます。満30歳の方に、検査受付医療機関リストを同封したチケットを発送しています。

 AMH検査は自費診療で高額ですが、この事業では受診時に窓口で500円を支払うと、その後の説明は無料です。採血での検査なので月経周期(生理周期)の影響がなく、いつでも受診できます。妊娠希望の方はもちろん、予定のない方も参加できます。AMH値から「卵巣にどの程度の卵子が残っているか」を推測することができると考えられています。妊婦さん・授乳中の方・経口避妊薬服用中の方でも採血できますが、そのような方はデータの参考値が多くはありませんので、医師と相談しながら説明を聞いてください。

 わが国の最重要課題は人口減少です。2020年は年間40万人(長崎市の人口相当)が減少、2040年には年間90万人(佐賀県の人口80万人)が減少します。大都市への人口集中が結婚できない若者を増やし、地方は持続不可能な社会となり災害への対応が、困難になることが警告されています。プレコンセプションケアが必要な女性やカップルだけでなく、皆さんの子どもや孫世代の問題として家族で話し合ってみてはいかがですか。

 若い世代の健康増進と質の高い生活により、将来の日本を担っていけるよう願っています。よかドック30や子宮頸がん検診、乳がん検診も福岡市の事業で、医師会指定の医療機関で受け付けています。


さのウィメンズクリニック 院長 佐野 正敏 先生


取材記事:ぐらんざ