肩こりや腰痛…内臓の病気のサイン?

 もう歳だから…と治すことを諦めがちな肩こりや腰痛。これらの痛みの多くは、職業病などによる筋肉への負担や骨の異常、血行不良、精神的ストレス、目の疲れが原因になっています。痛みを我慢して慢性化する方も少なくないですが、大抵の方は整形外科へ行くでしょう。しかし別の可能性があることをご存知ですか?今回はもう一つの原因として現れる内臓疾患のサインについてお話します。

 まず骨や筋肉による痛みは「肩のここが痛い、背中のここが痛い」など体の痛む部位がはっきりしています。動くことによって痛みを感じることも特徴の一つ。一方、内科系の病気のサインとなる内臓疾患による痛みは、「腰あたりが痛い」など体の痛む部位が漠然としています。安静にしていても常に痛みを感じ、マッサージをしても効果はみられず、なかなか治らないことが多くあります。

 では、可能性としてどんな病気があるのでしょう。肩や首あたりなら高血圧や狭心症などの心臓の異常、胃や十二指腸、すい臓の病気の可能性も考えられます。胆石では右肩のこりや痛みがよく知られています。また、腰痛には大動脈瘤などの重大な病気が隠れていることも。最近だと、背中が痛いと診療に来られた60代の女性にすい臓がんが見つかりました。この痛みは関連痛といい、体に張り巡らされた神経を通して原因とは別の場所が痛むのですが、婦人科系や腎臓の病気が見つかることもあるため注意が必要です。

 見分け方は、痛みの他に体の不調を伴っていないかどうか。随伴症状といって、例えば動悸、食欲不振、体重減少、発熱等が併発して続く場合は、かかりつけ医に診てもらいましょう。また普段の自分の身体の状態を知っておくためにも、やはり健康診断を受けておくことは大事。肩こりや腰痛も放っておかず、漠然とした症状から危険な病気が稀に存在することも心の片隅に留めておいてください。


浜の町病院 副院長・内科 瀬尾 充先生


取材記事:ぐらんざ