最近、トイレが近くて… これって「頻尿」?

 「尿が近い、回数が多い」と訴える方がシニア世代に多くみられます。個人差があり一概には言えませんが、目安としては1日の排尿回数が8回を超える場合を頻尿といいます。

 頻尿の原因はさまざまです。最も多いのが、急に尿意をもよおして我慢すると漏れそうになる過活動膀胱です。加齢と共に増え、40代以降の12~13%、50~60代の30~40%にみられます。特別な病因がなく元気な人でも年齢を重ねただけで生じてくる症状です。

 加えて男性は前立腺肥大症による排尿障害から膀胱の稼働が過剰になることもあります。女性は尿道が短いため、尿失禁と重なってきがち。そのほか、脳梗塞や脊髄の病気などによって膀胱のコントロールが悪くなって頻尿をきたすこともあります。

 一方、年齢を問わず発症する間質性膀胱炎。原因不明で頻尿が長期間続き、我慢すると痛みや不快感をもたらします。

注意したいのが夜だけトイレが近くなる夜間頻尿。本来、人間の体は、夜は尿の量を減らすように調節されています。このバランスが狂う夜間頻尿は、循環器の異常や生活習慣病など全身疾患がからんでいることがあります。睡眠時無呼吸症候群も原因の一つです。睡眠の質が落ち、日中の生活にも影響してきます。何より背景の疾患をきちんと見極めないと的確な治療ができません。昼間頻尿と夜間頻尿は分けて考えることが大切です。

過活動膀胱の場合、日常生活の注意としては、水分や塩分を摂りすぎないこと。そしして正しい食生活や適度な運動などですね。

気になる人は、排尿記録を付けてみてください。1日24時間、いつ、どれだけの量を出したか。日中と夜とでどう違うか。それを基に自分でコントロールできることもあります。夜間頻尿や間質性膀胱炎が疑われる場合は、専門医を訪ねてください。排尿記録は診断の際にも大いに役立ちます。


原三信病院 泌尿器科部長 武井 実根雄先生


取材記事:ぐらんざ