夏に注意したい脳梗塞 高血圧や肥満の改善を

 脳梗塞は脳卒中と呼ばれる脳血管障害の一つです。脳卒中は脳の血流の異常が原因で起こり、血管が破れる脳出血と、血栓で血管が詰まる脳梗塞に大きく分けられます。

 脳梗塞にはさらに三つの種類があります。一つ目はアテローム血栓性脳梗塞です。血管の壁にコレステロールなどの蓄積物アテロームが沈着、血管が狭くなり、動脈硬化が生じることによって起こります。二つ目は、脳の中の細くて小さな血管が詰まることで起きるラクナ梗塞。三つ目は、非常に重大な症状となる心原性脳塞栓症です。心臓で心房細動という不規則な動きが起き、血栓ができます。それが突発的に脳の大きな血管を詰まらせるのです。心臓でできる血栓は大きく、脳の大きな動脈が詰まるのでダメージが大きくなります。

 注意したいのは、脳梗塞の症例が6~8月に多いことです。脱水症状になると血液が濃くなり、血流が悪化、詰まりやすくなります。炎天下を避け、木陰で涼しく休んだり、こまめに水分補給をしたりしてください。電解質の飲み物、体温に近い水などがいいでしょう。

 脳梗塞の治療には血栓を溶かす薬を投与する血栓溶解療法を施します。これは発症から4時間半以内の処置が必要です。

 脳出血を含め脳卒中には「FAST」と呼ばれるチェック方法があります。顔の片側のゆがみ(Face)、片側の手に力が入らない(Arm)、言葉が出ない(Speech)、症状があれば時間(Time)との争いです。早期の治療が大切になります。自身や周囲の人の症状に気づいたらすぐに救急車を呼んでください。

 脳卒中の危険因子とされるのは、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙歴、多量の飲酒です。脳梗塞のリスクが増す夏は特に、予防に気を付けてください。日頃から、管理できる危険因子については改善することを心掛けましょう。


藤原脳神経外科クリニック 院長 藤原繁先生


取材記事:ぐらんざ