福岡市医師会館は福岡ドームのすぐ近くにあり、野球の試合が行われるときは
たくさんのダイエーファンを見かけます。
 2003年のペナントレース開幕まで2ヶ月。V奪還に向けて始動を始める福岡ダイ
エーホークスの王監督に、健康法と野球にかける想いについてお話をうかがいま
した。

王 貞治さんプロフィール
1940年東京都生まれ 早稲田実業卒。
1959年読売巨人軍に入団し、一本足打法でホームラン
王になること15回、通算868ホームランという輝かしい
世界一の記録を打ち立てる。
1977年国民栄誉賞、正力松太郎賞受賞
読売巨人軍監督、野球解説者を経て、1994年福岡ダイ
エーホークス監督に就任。
1999年に日本シリーズ優勝、2000年にはリーグ優勝を
成し遂げる。

福岡には単身赴任で来られて、今年で10年になりますが、食事はどうされ
 ているんですか?
 行きつけの店があって、そこでいわゆるおふくろの味のお惣菜を出してくれる

ですよ。バランスの取れた食事ができるので助かっています。

 福岡は、やっぱり魚が美味しいですよね。冬は鍋、その他の季節も刺身や塩焼
きなどで味わっています。
 
食事の好き嫌いはありますか?
 肉も魚も野菜も、和食も中華も洋食も好き。つまり好き嫌いはないですね。
 小さい頃から父親に何でも食べるように言われてきたんですが、自然と好き嫌
いが無いようにしつけられていたと思います。
 実家が飲食店をしていたので、高校時代は練習が終わってから充分食べさせて
もらいました。当時、空腹ということを感じないで育ててもらったことは、両親
に大変感謝しています。
 
子どもの頃は丈夫なお子さんでしたか?
 いいえ、実は小さいときは体が弱くて、病気ばかりしていたんですよ。双子の 
姉がいたんですが亡くなってしまい、それから姉の分まで元気が出たようで、丈
夫な身体になりました。
 
野球はいつ頃から始められたんですか?
 小学生の時からです。身体も大きかったので、
近所の中学生や高校生が野球をしているのに入
れてもらっていました。「王という名前の、よ
く飛ばすやつがいる」と有名でね。強いチーム
から「うちのチームに入らないか」と声をかけ
られるようになったんですよ。
 
高校野球ではピッチャーをされていたんですよね。 
 そうです。甲子園でも優勝しました。プロ野球にもピッチャーで入ったのです
が、バッターに転向するように言われて、大変がっかりしました。おまけに、4
年目まではあまりいい成績が出せず、ちょっと自信をなくしていたんです。
 そこでバッティングコーチに相談したら、「一本足で打ったらどうか」と言わ
れて。試合前にちょっと練習しただけでバッターボックスに立ったら、ホームラ
ンが打てたんです。いい事ができると、もっとできるようになりたいと欲が出て、
毎日毎日反復練習しました。その結果として868本の世界記録をだせたのだと思
います。
ペナントレースは7ヶ月間という長丁場ですね。体調維
 持の秘訣は何でしょう。
 ペナントレース中はデイゲームあり、ナイトゲームあり、暑
かったり湿度が高かったり、油断すると体調を崩してしまいま
す。だから、とにかく規則正しい生活を過ごすように気をつけ
ています。朝は決めた時間に起きるとか、夜遅くは食べ過ぎな
いとかですね。
 それから、やっぱり多くの人に見られるので、しゃんとしていよう、太り過ぎ
ないようにしようという意識も強くありますよ。
 
やっぱり、ストレスがたまることもあると思いますが、気分転換はどの
 ようになさっているんですか。
 友人たちと食事にくりだして、ビールを飲みながら、みんなでワイワイ話して
楽しむんです。負けた試合の後などは、これでリフレッシュして「よし明日はや
るぞ」という気持ちになりますね。
 
お一人のときはどのように過ごされているんですか。
 宿舎でテレビを見たり、パソコンでメールを打ったりしていますよ。指先を使
うのはいいし、暇つぶしにもなるし。じつはボケ防止に始めたんですけどね。
 
オフはどう過ごしていらっしゃいますか。
 今年は久しぶりに海外に出かけましたが、オフといっても来シーズンの構想と
か激励会とかいろいろあって、ゆっくりできる時間は少ないですね。でも、体は
常に動かすようにしています、歩いたりして。
 また、アルコールは3月のオープン戦が始まると飲まないんです。ちょっと長
い休肝日ですが、ここで体調をペナントレース用にととのえて、開幕に向けてテ
ンションを高めていくんです。開幕したら、優勝という大きな目標に向かって全
力で、突き進めるようにね。
 
今年の目標はやはり優勝ですか?
 もちろんそうです。秋山などベテラン選手が引退
しましたが、良い新人も入ってきましたし、今年こ
そは優勝したいと思っています。
 皆さんの声援が選手を後押ししてくれますので、
今年も応援よろしくお願いします。