医療情報室レポート
 

bP33  
 

2009年 6月 26日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特 集 :後発(ジェネリック)医薬品
 
 
後発(ジェネリック)医薬品は、テレビCM等を通じて一般の人々の関心も高い。医師や薬剤師は有効性・
 安全性を見極めながら、後発(ジェネリック)医薬品を適切に選択し使用することが求められている。

  国の医療費削減政策により、医業経営が厳しさを増している昨今、医療機関は人件費等、身を削りながらの経営を強いられている。そのような中で、医療の質を保ちつつ、コスト削減を図ることが出来るとされる後発(ジェネリック)医薬品の使用促進は、診療費の自己負担額を減らすことが出来る為、患者側のメリットは大きい。
 後発(ジェネリック)医薬品は、先発医薬品と効果・効能は同じで、かつ低価格であるので、国は医療費抑制の切り札とし、その普及・拡大を推奨したが、いまひとつ普及しなかった。しかし、昨年度の診療報酬改定において、処方せん様式の変更が行われ、医師が、処方せん作成の際、「後発(ジェネリック)医薬品に変更不可」としない限りは、薬剤師の代替調剤が可能となり、今後、後発(ジェネリック)医薬品の飛躍的な普及・拡大が予想されている。
 国は平成24年(2012年)までに、現在、数量ベースで17%程度の後発(ジェネリック)医薬品のシェアを30%以上とすることを目標に掲げており、このような状況を受けて、外資系・国内新薬メーカーは後発(ジェネリック)医薬品事業の拡大に意欲を見せている。
 後発(ジェネリック)医薬品の最大のメリットは安価さであろうが、品質や情報提供・供給体制面等の不安材料も抱えており、使用促進を妨げるハードルは多い。
 今回は、後発(ジェネリック)医薬品とは何か、そのメリット・デメリット、今後の課題等についてまとめた。

後発(ジェネリック)医薬品とは?
先発医薬品(新薬)の医薬品再審査が終了し、さらに特許期間
(約20〜25年間)が切れた後に、その先発医薬品製造企業以外の
製薬企業が製造し販売する医薬品のこと。
 先発医薬品と効能・効果・用法・用量は同一であるが、基
剤・添加物が異なるものがある。認可に際し、安全性の検証、
毒性試験は不要である為、全く同じとは言い難く、薬剤の切り
替えには注意を要する。
呼び名は、処方せんに「商品名」でなく
「一般名(general)」で記載することに由来する。
増え続けている国民医療費、高い薬剤比率
国民医療費は高齢化の進展、医療の質の向上等の
影響により年々増加しており、国は国民医療費を
減少させるために様々な政策を実行している。新
薬は10年以上の年月と数百億円規模の莫大な費用
を費やし開発される為、特許期間内の売り上げで、
その開発費用や利潤を生み出す必要がある。その
為、新薬の薬価は必然的に高く、国民医療費に占
める薬剤比率も高くなる。
我が国の国民医療費は年間30兆円を超えており、
(詳細は、医療情報室レポートNo.109・110「日本の医
療を考える その1・その2」
に掲載)そのうちの約6
兆円が薬剤費で、国民医療費の約2割を占めている。
(※1)
後発(ジェネリック)医薬品を使用促進することで、
国民医療費の中の薬剤費を抑制し、その差額を医
療の質の向上に繋げる資金とする方策は有益であ
るとされている。(詳細は裏面に記載)
国内シェア30%、倍増を目指す
後発(ジェネリック)医薬品の国内シェアは年々増
加傾向にあるものの、(※2) 諸外国と比較すると、
数量ベースでアメリカ67%、イギリス62%、ド
イツ59%、フランス39%となっており、我が国
のシェアは低い。平成17年、我が国は「経済財政
改革の基本方針」において、平成24年(2012年)
までに数量ベースのシェアを30%以上とすること
を目標に掲げている。
使用のメリット・デメリット
施策と課題
国は…
「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正
   →医師は投薬、処方する際に後発(ジェネリック)医薬品の使用を考慮するよう努め、薬剤師は後発(ジェネリック)医薬品の
     供給体制を整備するとともに調剤に努めることを義務付けた。
保険者・被保険者に対する周知
   →原則すべての保険者に対して「ジェネリック医薬品希望カード」を被保険者に配布するよう要請した。
社会保障費の抑制等
   →平成24年(2012年)までに数量ベースのシェアを30%以上とすることを目標とし、平成21年度予算において、後発
     (ジェネリック)医薬品使用促進で230億円抑制することを決定した。
後発(ジェネリック)医薬品メーカーは…
後発(ジェネリック)医薬品の品質、安定供給、情報提供体制の強化
   →開封しても崩壊しにくい安定した錠剤の開発、卸を通さずに直接販売できるシステムの構築、卸業者への即日配送の
     実施、MRによる迅速な情報提供の強化、お試し調剤シリーズの販売等、医師・薬剤師の後発(ジェネリック医薬品)に
     対する不安を払拭する販売努力が必要である。
医師・薬剤師は…
医療従事者間での後発(ジェネリック)医薬品への理解
   →後発(ジェネリック)医薬品の効能等を良く理解し、先発医薬品も含めた中で、患者にとって「適切な薬剤」、「良い薬剤」を
     選択し、投薬、処方する機会を提供可能なシステムを構築する。
その他…
日本版「オレンジブック(医療用医薬品品質情報集)」の内容の充実・強化
   →現在の日本版「オレンジブック」は、後発(ジェネリック)医薬品の品質情報集程度に過ぎないので、アメリカ並みに先発
     医薬品との同等性 が証明可能な「オレンジブック」を発行する必要がある。
<医療情報室の目>
 我が国の総医療費のうち2割が薬剤費だと言われている。後発(ジェネリック)医薬品の使用が促進されれば、伸び続ける医療費抑制のカンフル剤となり、その結果、患者一部負担金や健康保険料等の負担が軽減される等、我が国の苦しい医療財政の救世主を期待する声は高い。
 世界シェアを見ると、欧米では、新薬の特許が満了した1ヵ月後には、市場の8割が後発(ジェネリック)医薬品に切り替わることがある程で、後発(ジェネリック)医薬品の普及に関しては、日本より一日の長がある。しかし我が国では、後発(ジェネリック)医薬品は安価であるにもかかわらず、後発(ジェネリック)医薬品メーカーの取引先は、診療報酬の支払いが包括払い制の療養型の病院やDPCを採用している病院が主であり、DPC以外の出来高払いの病院や診療所には浸透していないのが現状である。
 後発(ジェネリック)医薬品が、いまひとつ普及しないのは、先発医薬品と主要成分が同じであっても、製造過程や基剤・添加剤等は先発医薬品と同一ではない為、これによる問題が起こらないとは限らないという品質面や安全性への不安が、依然として医師や薬剤師の中にある為だ。後発(ジェネリック)医薬品メーカーは、今後こうした不安を払拭する為に、品質の確保はもとより、安定供給、情報提供等に一層努力して医療側の信用獲得に努めなければならない。翻って医療側としては、冗費を節減し、後発(ジェネリック)医薬品の採用等、合理的な選択肢も視野にマネジメント能力を最大限に発揮する必要がある。そうした中で、医師・薬剤師は、先発医薬品以上に臨床上の有効性、安全性を注意深く観察し評価しながら最適な医薬品を選択するとともに、患者とのコミュニケーションを通じて
個々の薬剤の治療効果等を見極めて行かなければならない。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 工藤 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 原  祐 一(広報担当)・竹中 賢治(地域医療担当)・徳永 尚登(地域ケア担当)


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