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２００６年１２月２０日 　
福岡市医師会医療情報室　　
TEL852-1501・FAX852-1510　

特集：平成１8年をふりかえって

平成１８年は医療界にとって今までにない大きな変革を迫られる年となった。４月の診療報酬改定では過去最大の下げ幅−３．１６％（本体-1.36%、薬価・材料価格-1.8%）となり、また、６月には医療制度改革関連法が成立、増え続ける医療費抑制のため、高齢者の自己負担増や高齢者医療制度の創設、介護療養病床の廃止、生活習慣病対策等が中心で、１０月から順次実施されているが、高齢者には特に重く負担がかかる内容となっている。この数年の医療費抑制策の総決算であった感がある。 　また、療養病床の再編、勤務医の過重労働、産婦人科・小児科の医師不足、制度改正に伴う看護師不足などの医療提供側の問題も山積したままで、先行き不安にならざるを得ない。「医療崩壊」に導くと思われる１年になった。 　今回は年末恒例の特集として今年１年間の出来事を纏め“平成１８年をふりかえって”みた。

	医師会関係	厚生行政関係	主な出来事
１月	・ 日医会員数16万2800人(H17.12.1付) ・ 国民医療推進協議会､国民皆保険制度を守る国民運動で1764万人署名を衆参両議長に提出 ・ 市医役員選挙､次期会長に宮�ｱ良春会員(中央区)を選出 ・ 市医モバイル一斉連絡システム｢西野モバイル｣に命名	・ 厚労省06年診療報酬改定骨子で｢在宅療養支援診療所｣新設 ・ 厚労省2025年度医療給付費将来見通し48兆円 ・ ｢障害者自立支援法施行令案｣閣議決定 ・ 小泉首相施政方針演説で｢本年は医療制度改革｣	・ ライブドア及び関連会社等を証券取引法違反疑いで強制捜査､堀江社長含4名逮捕 ・ 東京･埼玉連続幼女誘拐殺人事件最高裁判決､被告死刑確定 ・ 構造計算書偽造問題、衆議院国土交通委員会でヒューザー小嶋社長証人喚問 ・ 12月に輸入再開の米国産牛肉にBSE危険部位混入､再び全面禁輸 ・ 日本郵政株式会社発足
２月	・ 県医役員選挙､次期会長に竹嶋康弘会員選出	・ アスベスト(石綿)被害者救済法成立 ・ 健康法や医療法等改正を含む｢医療制度改革関連法案｣閣議決定 ・ 2005年人口動態推計の年間推計発表、死亡数が出生数を上回り初の自然減	・ 福島県立病院産婦人科医師が業務上過失致死･医師法違反容疑で逮捕､学会等各地から抗議 ・ 東横イン不正改造問題 ・ ライブドア送金指示メール騒動 ・ トリノ五輪フィギュアで荒川静香が金メダル獲得 　 日本各地で記録的豪雪のよる被害
３月	・ 日医医療政策会議｢医療の質とその財源の確保｣発表 ・ 日医第9次生命倫理懇談会｢ふたたび終末期医療について」発表 ・ 県医｢新かかりつけ医｣募集 ・ 市医､大規模災害マニュアル作成 ・ 市医､こどもと生活習慣病対応マニュアル作成	・ 一般会計総額79兆6860億円の06年度予算案成立、社会保障関係費20兆4149億円 ・ 第100回医師国家試験合格者発表､合格者 7742人､合格率90%､女子の割合32.7% ・ 厚労省04年度年間老人医療費見込み､福岡県は長野県の1.5倍	・ 富山県の射水市民病院で7人延命措置の中止で死亡していたことが判明 ・ 気象庁､今冬の豪雪を｢平成18年豪雪｣に ・ 北九州空港開港 ・ 第1回ワールド･ベースボール･クラシック(WBC)で日本代表優勝
４月	・ 日医役員選挙､次期会長に唐澤��人会員選出 ・ 日医総研所長に竹嶋康弘日医副会長就任 ・ 日医2025年度国民医療費を49兆円と推計 ・ 県医補欠選挙､会長に横倉義武会員選出 ・ 県医､自浄作用活性化委員会研修会開始 ・ 市医､福岡市新病院構想参画に関し再検討 ・ 市医､地域包括支援ｾﾝﾀｰ事業開始 ・ 市医､出産前後子育て支援パイロット事業開始	・ 06年度診療報酬改定-3.16%過去最大の下げ幅､初再診料見直し等 ・ 06年度介護報酬改定-0.5% ・ 厚労省外国人医師の就労制限撤廃	・ 大阪府堺市が政令指定都市へ ・ 地上波デジタル放送の｢ワンセグ｣開始 ・ 川崎市のマンションで男子児童が転落死で無職の男逮捕 ・ 耐震強度偽装問題で合計8人逮捕 ・ 社会保険庁､政管健保保険料から5年間で不適切支出判明
５月	・ 日医｢子ども支援宣言｣で無過失補償制度確立や15歳迄医療費1割等提案 ・ 市医｢研修医に役立つ医師会活動の紹介｣実施 ・ 市医臨床検査ｾﾝﾀｰ検査受付･請求システム更新	・ 衆院厚生労働委で医療制度改革法案を与党強行可決 ・ 厚労省レセコン出力情報を統一仕様に変換するソフト｢レセスタ｣無料提供開始 ・ 05年エイズ発生動向､日本男性新規感染者過去最高	・ 会社法施行 ・ 行政改革推進法等､行革関連5法成立 ・ 社会保険庁､国民年金保険料不正免除判明 ・ ガソリン全国平均店頭価格が1リットル当134.9円15年ぶり高値 ・ 佐賀県唐津市で小5男児ひき逃げ後、山中に重傷のまま遺棄､土木作業員の男逮捕
６月	・ 世界医師会副議長に日医岩砂副会長就任 ・ 日医｢医療制度改革関連法｣への要望｢付帯決議｣が認められる	・ 医療制度改革関連法成立､療養病床再編､高齢者自己負担増､後期高齢者医療制度創設 等 ・ 自民･歳出改革PTで5年で社会保障費1.1兆円削減目標に ・ がん対策基本法成立 ・ 2005年人口動態統計で出生率1.25､過去最低更新	・ 改正道路交通法施行､駐車違反取り締まりが民間委託へ ・ 村上ファンド代表､村上世彰が証券取引法違反容疑で逮捕 ・ 秋田県藤里町小1男児殺害で無職女を逮捕､後日､娘の殺害も自供 ・ シンドラーエレベータ社製エレベーター死亡事故 ・ 日米両政府､米国産牛肉輸入再開合意 ・ サッカー･W杯ドイツ大会開幕
７月	・ 日医07年度予算概算要求、無過失補償制度創設を厚労省へ要望 ・ 第38回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会開催(大分市) ・ 市医､福岡市長宛に三師会要望書提出 ・ 市医｢第五次地域医療計画検討会｣で次期医療計画への対応検討	・ 療養病床の再編開始 ・ 骨太方針06閣議決定、社会保障費で1.1兆円圧縮努力が明記等 ・ 07年度予算概算要求基準閣議了解､社会保障費自然増から2200億円削減 ・ 05年平均寿命男性78.53歳､女性85.49歳6年ぶり前年下回る ・ 特区で初､横浜市で株式会社クリニック開業	・ 北朝鮮が日本海に向け7発の弾道ミサイル発射 ・ 岐阜県庁で裏金問題発覚 ・ サッカーW杯､イタリア優勝 ・ 国連安保理､北朝鮮への制裁決議採択 ・ パロマ湯沸器死亡事故 ・ ジャワ島でM7.7の地震発生 ・ 各地の豪雨被害｢平成18年7月豪雨｣ ・ 埼玉県ふじみ野市の市民プールで小2女児が流水プール吸水口に吸い込まれ死亡
８月	・ 日医､来年度税制要望で消費税問題解消に医薬品非課税を厚労省へ要望 ・ 日医､産科･小児科医偏在対策に｢母子保健検討委員会｣設置 ・ 第37回中･四･九地区医師会看護学校連絡協議会(宮崎市)	・ 厚労省､悪質な介護事業者を即指定取消に指導･監査指針改正 ・ 政管健保05年度単年度収支決算1494億円黒字､3年連続黒字決算 ・ ｢2004年度国民医療費の概況｣発表､国民医療費32兆1111億円で前年比1.8%増 ・ 福岡県､07年4月から県立の全病院を民営化・厚労省2007年予算概算要求､前年度予算比3.17%増､21兆6062億円	・ イギリスで旅客機爆破テロ未遂事件 ・ 東京･神奈川･千葉で大規模停電 ・ 小泉首相が8月15日に靖国神社参拝 ・ 北方領土､歯舞諸島の貝殻島付近で根室の漁船がロシア警備艇に銃撃･拿捕 ・ 高校野球決勝で37年ぶり再試合､早実優勝 ・ 福岡市東区の海の中道大橋で福岡市職員が飲酒運転事故､子供3人死亡
９月	・ 第1回世界医師会アジア地域会議､東京で開催 ・ 日医､全国の医師会病院未収金調査､総額9億8千万超 ・ 第43回九州首市医師会連絡協議会開催(鹿児島市) ・ 市医､女性医師支援プロジェクト設置 ・ 市医､医師会史編纂プロジェクト設置	・ 総務省､05年版救急･救助で救急出動数前年比4.9%増528万件過去最高更新 ・ 厚労省､06年版厚生労働白書で国民自らの予防･自立の社会保障制度提言 ・ 自民党総裁選､安倍晋三官房長官が総裁選出 　 安倍内閣発足､新厚労相に柳澤伯夫氏、厚労副大臣に武見敬三氏就任	・ 秋篠宮ご夫妻に悠仁さま誕生 ・ 台風13号九州上陸､死者9名負傷者200名超 ・ タイで軍事クーデター ・ ドイツでリニアモーターカー試運転中に事故 ・ 規制改革･民間開放推進会議 宮内議長　(オリックス)辞任､村上ファンドへの出資も判明
10月	・ 日医､第10次生命倫理懇談会で終末期医療ガイドライン着手 ・ 日医､テレビCM放送開始 ・ 日医､北朝鮮核実験に抗議声明 ・ 日医｢女性医師バンク｣拠点を東京､福岡に ・ 市医､第1回県弁護士会とのパートナーシップ準備会	・ 安倍首相所信表明で予防重点の｢新健康フロンティア戦略｣推進 ・ 自民党｢有床診療所の活性化を目指す議員連盟｣設立	・ 北朝鮮が初の核実験実施 ・ 携帯電話､番号ポータビリティ開始 ・ 福岡県筑前町で中2男子がいじめ苦に自殺 いじめを苦にした子どもの自殺が相次ぐ ・ 愛媛県宇和島市で生体腎移植臓器売買事件 ・ 奈良県で分娩中意識不明の妊婦に転送拒否が続き出産後に死亡 ・ プロ野球日本ハムファイターズ44年ぶり優勝 ・ 高校の必修科目未履修問題
11月	・ 国民医療推進協議会 唐澤日医会長を新会長に選出 ・ 第45回十三大都市医師会連絡協議会開催(大阪市) ・ 第106回九州医師会総会･医学会開催(大分市) ・ 市医｢プライマリーケア医のためのうつ病対策研修会｣実施	・ 政府｢新健康フロンティア戦略賢人会議｣設置 ・ 08年政管健保公法人化｢全国健康保険協会｣設立委員会初会合 ・ 規制改革･民間開放推進会議の最終答申案骨子で株式会社医療参入･医師免許更新制･先発医薬品価格縮小等 ・ 中医協総会で看護配置7対1で集中審議	・ 損害保険大手六社が医療保険等｢第三分野｣商品で不払いがあったと発表 ・ 宇和島市病気腎移植問題 ・ 北海道佐呂間町で竜巻災害 ・ 政府主催タウンミーティングでやらせ判明 ・ 千島列島付近M7.9地震発生 ・ 福岡市長選挙､民主推薦吉田宏氏当選 ・ フィリピンから帰国の男性が狂犬病発症･死亡
12月	・ 市医看護専門学校､専門課程入試2回に分け実施 ・ 市医､医療情報室レポートNo.57〜101迄纏めた小冊子発行	・ 政府06年度版少子化社会白書閣議決定、2030年以降労働力人口の急速な減少見込み ・ 改正感染症法成立、結核予防法を統合	・ 2カ月で福島､和歌山､宮崎県で知事が談合疑惑或いは収賄容疑で逮捕 ・ ドーハ･アジア大会開催 ・ 与党が07年度税制改正大綱決定､企業中心に減税､個人には増税 ・ ノロウィルスを主な原因とする感染性胃腸炎過去25年で最大の流行 ・ 教育基本法改正案成立

＜医療情報室の目＞

★ 平成７年から毎年、京都の清水寺でその年の世相を表す漢字一文字が発表されている。日本漢字能力検定協会が例年公募しているもので、平成１８年は「命」が選ばれた。秋篠宮悠仁さまご誕生という明るい話題がある一方で、自殺者の多発や飲酒運転による死亡事故の多発等、「命」の重さに改めて国民の関心が集まった一年だった。 　　医療界では、保険証一枚で誰もが必要な医療を受けられるはずだった日本の医療制度が、「改革」の名の下に「崩壊」への歩を進め、過酷な経済至上主義の風潮が一層助長された年であった。「命」の源である「健康」や「医療」が、財政的な面だけで「改革」され、保険料や自己負担３割分が支払えず、必要な医療を受けることが出来ない人を生み出し、医療提供側には過酷な労働と経営を迫られ、言わば国民の「命」が削られた一年ではなかっただろうか？ 　来年も様々な医療情報を解りやすくお伝えしていきたいと考えております。平成１９年も宜しくお願い致します。

　※ご質問や何かお知りになりたい情報（テーマ）がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
　　　(事務局担当　立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
　

担当理事　原　 祐 一(広報担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)