『夏の感染症』

 夏本番!海に山に楽しい計画がいっぱい。でも、ちょっとした気の緩みや不注

意が、夏に多いいろんな病気を引き起こします。ここでは、代表的な夏の感染症

とその予防法をご紹介します

【はやり目】

「はやり目」といわれているものは、治りにくく感染力も非常に強いウイルス性

結膜炎です。

◆流行性角結膜炎◆

 充血、目やに、涙目、まぶたのはれなどの症状が激しく  
、耳の前のリンパ節が腫れたり熱を伴うこともある重症の
結膜炎です。子どもではまぶたの裏の結膜に白い膜ができ
ることもあります。
◆咽頭結膜熱◆
 「プール熱」とも呼ばれ小児に多く見られます。結膜炎は、さほど重症ではない
のですが、多くの全身症状が出現します。のどの痛みや39度前後の発熱があり、
時には吐き気や下痢などの症状を伴うこともあります。
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 これらはアデノウィルスが原因で起こります。全国調査では例年8月上旬頃が
発症のピークで、夏かぜとして流行し、目やにや涙が感染源となる他、ウィルス
は腸管や泌尿器でも増殖するため、結膜炎が治っても便や尿中にウィルスが存在 
し、プールで感染することがあります。
 アデノウィルス結膜炎に対する特効薬は残念ながら今のところありません。感
染防止が大切ですが、完璧といえる防止策はありません。
◆急性出血性結膜炎◆ 
 エンテロウィルスかコクサッキーウィルスが原因で、近年は散発的な流行がある
だけです。

 感染している人もそうでない人も、良く手を洗う、タオルな 

        
どを共有しない、目をこすったりしないことなどを心掛けて下 
さい。もちろん目薬を共有してもいけません。 
 目やにはティッシュペーパーでふき取り、すぐ捨てて下さい。 
 プールは結膜炎が完全に治るまで控えて下さい。治った後も
一ヶ月ほどは入るべきでないでしょう。 
 目が赤い、目やにが多い、涙が出るなどの症状があり、水泳 
教室などでプールに入る場合は、かかりつけの眼科の先生によ 
く相談され楽しい夏休みを送って下さい。 

 

【夏カゼ】

夏によくおこるこどもの感染症は「夏カゼ」と食中毒です。

夏カゼの代表は手足口病、ヘルパンギーナです。
昨年に続いて今年も流行っているプール熱も夏カゼに入れていいでしょう。
        ◆手足口病◆
文字通り、手のひら、足のうら、口の中に水泡ができる病気で、あま
り熱はでません。
◆ヘルパンギーナ◆
高い熱がでて、のどの奥に水疱ができて痛くて飲んだり食べたりがな
かなかできなくなります。いずれもウィルスの病気で抗菌薬が効きま
せん。
 
 水分と<のどごしのよい>食べ物を少しずつとって、高熱や痛みが強い時には解熱剤 
を使います。稀に髄膜炎をおこすことがありますので、頭痛と嘔吐には気をつけて下 
さい。

 

【食中毒】

サルモネラ、キャンピロバクター、病原性大腸菌などが原因。夏に多く注意が必要で

す。恐い合併症が起こることもありますので、お子さんに下痢(特に血便)や腹痛が
あるときには、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。
 
手洗いを励行することと食品をしっかり加熱するこ 
とです。肉類は、なま(十分に火が通ってないもの
も)では食べさせないようにして下さい。 
 
 
 
【耳・皮フ】
◆外耳道炎◆ 
 水泳や汗で湿った皮膚の傷から、細菌が侵入して生じます。
 傷が付かないよう爪を切ったり、耳掃除などで触りすぎないことが大切です。 
 化膿しなければ触らないのが一番ですが、痛みが強かったり汁が出るようなら抗生
剤やステロイドの軟膏を用います。

◆とびひ(伝染性膿痂疹)◆ 
 ブドウ球菌の感染が夏に多いタイプです。鼻はばい菌の巣なので、入り口近くを引
っ掻くと容易に感染し、よく最初の病巣になります。ここを触った手で、あせもや虫
刺されを掻くとあっという間に水疱や膿疱が全身に広がります。
 
 入浴し皮膚を清潔にしてください。 
 石鹸の泡で病変部を洗い流して下さい。浸出液が広がらないよう
に軟膏の塗布やガーゼなどの保護処置が必要です。