■日本の医療制度はナンバーワン■

日本人は健康で長生き
 2000年6月、世界の人々の健康を守るために活動している世界保健機関
(WHO)が発表した「健康寿命(健康で自立して生活できる年齢)ランキン
グ」で、日本は世界のトップになりました。また、「治療にかかる費用に不公
平はないか、患者の意志や立場が大切にされているか、施設は整っているか」
等の項目で比べた「健康達成度の総合評価」でも日本は世界一になりました。
 平均寿命を見ても女性の84・0歳、男性の77・1歳は、いずれも世界一です。
そして、乳幼児の死亡率は、赤ちゃんが1,000人生まれたとして3.6人です。
これは世界でもっとも低い値になっています。
 では、このようなレベルに達するのに多くの医療費を使っているかというと、
そうではありません。国民一人当りの国内総生産(GDP/国の経済力の指標)
は世界5位と高いレベルにあるにもかかわらず、それに占める総医療費の割合
は18位(1998年)でした。(表1)
3つの大黒柱
 「健康で長生き」を支える日本の医療制度には、3つのすぐれた特徴があり
ます。
@受診機会の平等(国民皆保険体制)
 全ての国民が公的な医療保険に加入しています。保険が適用される医療機関・
 医療内容での受診なら、医療費を払う時、だれでも等しく医療保障(保険適
 用)の対象となります。
A安い費用で、質の良い医療(現物給付方式)
 希望する医療がすぐに受けられ、その費用は保険組合などから医療機関に支
 払われます。受診者が一定の額を負担すれば、いつでもどこでも変わらない
 医療サービスが受けられるのです。
Bいつでも、だれでも、どこでも(フリーアクセス)
 健康保険証を提示すれば、なんの制限もなく、どこの医療機関でも自由に診
 療や治療を受けられます。自分の意志で医療を選べるのです。
 
ほかの国では
 日本のような医療制度がない国の医療事情はどうでしょうか。アメリカは国
民全体を対象とした公的な医療保障制度がなく、民間会社の保険が中心です。
このシステムでは、指定の医療機関以外で治療を受けた時は保険は適用されま
せん。
 イギリスでは初期医療を担う家庭医をあらかじめ登録します。登録した家庭
医以外の診療は受けることができません。入院や専門的治療が必要な時も家庭
医の判断・紹介が必要です。
 日本の医療制度のシステムは「国民皆保険体制・現物給付方式・フリーアク
セス」を柱に、高水準の安心できる医療サービスを、低額な医療費で提供して
きているのです。
(本稿は(社)日本医師会発行「あなたの健康を守るために―国民健康読本」
 を抜粋して書き直したものです)