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福岡市の市長に就任して1年5ヶ月の吉田宏さん。お忙しい公務をエネルギッシュにこなす 健康法についてお話をおうかがいしました。
【吉田 宏さんプロフィール】 1956年9月18日生まれ 1980年慶應義塾大学経済学部卒業 同年4月西日本新聞社入社 東京支社報道部次長、論説委員、経済部次長、 経済部長を経て 2006年12月 福岡市長
●市長就任2年目を迎え、お感じになることは? 予想はしていましたが、やはり、責任の重さというものを実感しています。それから、 最近特に感じているのは、自分が伝えたいことが周囲にきちんと伝わっているだろうかと いうこと。「言いたいことはわかるけど、もう少し詳しく」ということであれば、説明の 量が足りないということかと思うのですが、まったく異なった受け取られ方をされる場合 があります。もちろん、重ねて説明していくことで理解してもらえることが多いのですが 、庁内外の多くの方々に理解してもらうためには、戦略的に、きちんと伝えていくことが 大切だと感じています。
●市民と市長との対話集会「聞きたかけん」を、各地で開催されていますね。 「聞きたかけん」は、市民の方々から直接意見をいただける貴重な場です。会って直接 話せばわかりあえることも多く、行政の足りない部分を指摘した建設的な意見もたくさん いただけます。そうすると、「なるほどそういうことなのか」ともう一度考える。伺った ご意見をそのまま事業などに反映させるということではありませんが、背景などに理解が 進みますので、よりよい施策をつくりあげることにつながります。実は、「聞きたかけん 」というスタイル以外にも、いろんなところに出向いてお話する機会をつくっています。
●もっとメディアに向けて発信してほしい、という意見もあるようですが。
やりたいことやアイデアは、具体策も含め、たくさんあ るのですが、自分がまだしっかりとやってもいないことに 、アピールばかり一生懸命やるということが、自分の中で は納得がいかないのです。実績を積み、いろんなことをき ちんとやった結果として、それが正当な形で発信されてい
くというのがいちばんだと思っています。アピールやパフ ォーマンスだけやるという気持ちにはなれません。メディ ア界からきているのだから、そのへんのことがもうちょっ と上手くできるはずと言われることもあります。メディア 戦略を立てようと思えば、いくらでも立てられます。しか し、そのために莫大なコストをかけるくらいなら、予算が 足りない、人が足りないといっているところに予算を充て たいのです。ただし、伝えることにまったく力を注がない と、いいこともまた伝わらないので、そのあたりのジレン マは確かにあります。
●就任1年半を経て変わってきたことは? 職員と気心が知れてきたというところでしょうか。最初はお互い遠慮や理解不足があり
ましたが、だんだんとほぐれてきて、議論が活発に行われていますし、ただ従うだけでな く反論もきちんとあがってくる。そこがいいなと自分では思っています。大きな組織です から、全員がというわけではないですが、日一日とそういう人が増えていっているという 実感があります。そうなると議論もますます活発になり、いろんなアイデアが出てきて、 よりエネルギッシュな活動が広がり市政にも反映されてくる、その辺りがいい変化ではな いかと思っています。組織が活性化すれば、きちんとした反応も返ってくる。そこがうれ しいですね。
●健康面で気をつけているのは?
やはり、食事ですね。市長就任以前は週末に出かけることがあったゴルフも、今はなか
なか行くこともできず、運動不足になりがちなのでカロリーを減らすしかないなと。食べ れば食べるほど身についてしまう体質で、食べものの好き嫌いがないので普段から揚げも のを避けるなどを意識しています。睡眠時間はできるだけ6時間はとるようにし、毎朝、 職場である庁舎9階まで階段で登るようにしています。1年以上続けたら、さぞや楽々ス イスイと登れるようになるのかと思っていたら、なかなかそうでもない(笑)。ある大学 の体育学部の先生にお聞きしましたら、「それだけでもずいぶん違いますよ」と言われた のですが、それだけでは足りないということでしょうか(笑)。
●ストレス解消法は?
あまりストレスを感じる方ではないようなので、特にはありません。何かが気になって
眠れないということはないですし、たまに眠れないな、という時は、前の日に寝すぎてい るとか(笑)、そんなものです。強いて言うならば料理をすることでしょうか。”男の料 理”というと、高級な食材を買い集めて、というイメージかもしれませんが、私の場合は 冷蔵庫にあるものでつくってしまうんです。友人宅でもそんな調子でつくることもありま すね。普段していないことをするという新鮮さもありますし、料理がだんだんできあがっ てきて、それを美味しいといって食べてもらえる喜びもあります。最近は時間がなくてな かなかできませんが、私にとってはそれがストレス解消になっているのかもしれません。