フランス料理のシェフとして、常にトップを走り続ける平松宏之さん。
パリのお店がレストランのガイドブックとして有名な「ミシュラン20
02年版」で1つ星を獲得し、世界中の注目をますます集めています。

   
【平松 宏之さんプロフィール】
 1952年6月23日生まれ
 1970年料理人としての人生を歩み始める
 1978年フランスへ渡りレストランで修行
 1981年帰国し翌年「ひらまつ亭」を開店
 1999年「レストランひらまつ」博多店を開店
 2003年パリ店が日本人オーナーシェフとして
 初めてミシュラン1つ星を獲得

料理の世界に入られるきっかけは

 実は、料理人の修行に入るまで、全く料理をしたことはなかったんです。

 高校時代にフランス文学にのめり込み、フランスに関わる、文化的な仕事を
したいと思うようになって、自分なりに表現できる仕事として、料理の世界に

入ったんです。修行に入った時は、本当に大変でしたよ。

 
レストランで働く時間は、朝早くから、夜遅くまで長時間だと思います
が、体力的に大変ではないでしょうか。
 確かに、体力的にもきついですが、料理に打ち込めるかどうか、精神力が大
事だと思います。
 私の健康のバロメーターは「食事ができるかどうか」なんです。若い時から、
よく食べていましたし、先日30日間フランスに行っていた時は、15回いわ
ゆる「フランス料理」を食べましたが、全部おいしくちゃんと食べられたので、
自分は健康だと実感しましたね。
 食べられない時は、体調に不安がある時ですね。僕はフランス料理を食べて
いると体調がいいんです。和食を続けて食べると胃にもたれてしまって。パン
食が合っているみたいですね。
 今でも、ここのスタッフより一番食べていると思いますよ。
 
フランスに行く時に、時差ぼけはありませんか
 
 時差ぼけ対策として、僕は飛行機の中では水以
外一切食べないんです。東京で飛行機に乗った時
に時計をパリ時間にして。この前は、乗って30
分もしないうちに寝てしまって、目がさめたのが、
到着の2時間前。そこで水をもらって、また寝て
しまい、着陸の30分前に起こされました。10
時間ぐらい眠っていたんですね。
 いつもは午前中から夕方にかけては社長として
の仕事をして、それから厨房に入って、夜中の1
時過ぎまでいますから、いつもは3〜4時間の睡眠しか取れないので、飛行機
の中ではこの際と思って寝ています。
 
少ない睡眠時間の中で、体調維持のために、何かしていらっしゃいま
すか
 特に運動をするなんて言うことはありません。でも血液検査は2ヵ月に1回
して、血糖値や肝機能などが正常かチェックしています。今まで、異常があっ
たことはないですが。
 ただ、嫌なことは明日に持ち越さない、ストレスをためない。だからよく寝
られる。
 つらいことはありますが、それは「嫌」なことではないんです。つらいこと
を乗り越えたら、新しいものが見えてくる。人生が楽しくなっていくと思うん 
ですよ。
 21世紀型のフランス料理は「野菜」がキー
ワードになると思います。野菜で1つの皿を創
る。フランス人は今、より軽いフランス料理を、
と言うことで野菜を取り入れています。体が欲
しているのかもしれません。ただ、日本人は日
常的に野菜を食べているので、レストランに行
くとあえて「肉」を求めるのかもしれませんね。
 年4回新メニューを考えますが、食材は地場
のものを使います。基本的に博多店、東京、ミ
シュランで1つ星をとったパリの店は同じメニューです。ここ博多店では佐賀
牛というとてもよい素材に出会えて、もちろん魚も地場の魚をつかって料理を
お出ししています。            
                     レストランひらまつ博多店にて