第12回 糖尿病療養指導士

 現在、日本全国に糖尿病が強く疑われる人が約740万人いるといわれ
ています。その数と比較すると、糖尿病の専門医は絶対数的に少ないとも
いわれています。治療の自己管理が中心の糖尿病患者を医師以外のスタッ
フがサポートするシステム、糖尿病療養指導士。福岡県内には880名の
糖尿病療養指導士が、糖尿病治療の指導を補助すべく、活躍しています。
(CDE/Certified Diabetes Educator)
糖尿病療養指導士
福留 直美さん
福岡市医師会成人病センター勤務。看
護師長をつとめながら、糖尿病患者を
サポートするコメディカルスタッフと
して医師のサポート、患者さんのフォ
ローに気を配っている。

 糖尿病療養指導士とは日本医師会の認定資格です(各地域単位の資格制度あ
り)。糖尿病という病気は、他の病気と比べると自分で治療の管理をしなくて
はならないことが多々あります。治療の3本柱と言われているのが「薬物療法」
「食事療法」「運動療法」です。自分でインシュリンの注射を打ったり、患者
さん自身が覚えて努力することで症状が改善されていきます。
 しかし、この病気については医師一人で何人もの患者さんの指導すべてを行
うことが困難な(専門の医師の数に比べて患者さんの数が多い)点もあり、医
師の指導のもとに患者さんのサポートを行うのが糖尿病療養指導士というわけ
です。
 指導士には、看護師、栄養士、理学療法士、臨床検査技師、病院薬剤師など
糖尿病医療に直接携わる人たちが資格を持ち、日夜医療の現場で進歩していく
糖尿病治療の知識を患者さんの立場や一日の生活像を相談しながら指導します。
 患者さんにとっても、多忙な医師に聞きにくいことも看護師や栄養士などの
立場の指導士になら、じっくりと時間をかけて話せることもあるようです。糖
尿病は退院後家庭に戻ってからの管理がとても大切です。既婚の男性なら、食
事を作るパートナーの協力が必要となり、一緒に指導することもあります。ま
た、高齢の患者さんなら間違った食事の摂取法を変えてあげることもあり、そ
うすることで、家庭での管理能力が向上する助けになると思っています。