医療情報室レポート
No.200

2014年12月19日発行
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1505・FAX852-1510
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特集:平成26年をふりかえって

 平成26年は、医療・介護の改革への動きがより本格化した年となった。今年4月の診療報酬改定並びに6月に成立した 「医療・介護総合確保推進法」では、医療機関の機能分化と連携を図るための様々な施策・項目が盛り込まれた。また、同推進法では消費税増収分を含む904億円の基金が設置され、都道府県単位での在宅医療の推進等を後押しするとともに、「病床機能報告制度」の実施や「地域医療ビジョン」の策定など“2025年問題”を解消するための改革が着々と進められつつある。  
 一方、今月14日に行われた衆議院総選挙では、政権与党の大勝という結果になったが、消費税率10%への再増税が先送りされることとなり、医療・介護・年金といった今後の社会保障改革の停滞が懸念されている。
 今回は、毎年恒例の特集である今年一年の出来事をまとめ、“平成26年をふりかえって”みた。

●平成26年の主な出来事

医師会関係 厚生・行政関係 トピックス


・日医会員数16万5,955人(2013.12.1付)、前年比305人増、過去最高の会員総数となる
・日医、電子認証センターの運用ならびに「医師資格証(ICカード)」の発行を開始
・市医、次期役員等選挙を実施
・厚労省、2013年人口動態推計の年間推計を公表、出生数103万人で前年比7千人減の過去最少
・2013年の医療機関の倒産件数は36件。前年比1件減
・理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリー ダーらが、世界初の新型万能細胞「STAP細胞」を開発したと発表
・三重県四日市市の三菱マテリアル四日市工場で爆発事故発生、5人死亡、12人けが
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・県医、「福岡県医師会認定総合医(新かかり つけ医)制度」の申請受付を開始 ・厚生労働省と経済産業省、「ロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野」の取り組みについて、新たに1分野3項目を追加し、 合計5分野8項目に改訂したと発表 ・関東甲信越で記録的大雪。甲府市、熊谷市、前橋市、宇都宮市などで観測史上最多積雪を記録
・第22回冬期ソチオリンピック開催、フィギュアスケートの羽生結弦選手が金メダル、スキー・ジャンプの葛西紀明選手が銀メダルを獲得するなど日本のメダル獲得数は8個


・市医、「第3回慢性腎臓病(CKD)市民公開講座」 開催
・市医、成人病センターMRI(シーメンス社製 1.5T)稼動開始
・市医、成人病センター50周年記念誌発行定
・第108回医師国家試験合格者発表、合格者 7,820人、合格率は前回から0.8ポイント増の90.6%
・総務省消防庁が2013年の救急出動状況を 公表、前年比11万3,501件増の591万5,956 件で過去最多
・宇宙飛行士の若田光一さんが日本人初の国際宇宙ステーションの船長に就任
・世界フィギュアスケート選手権大会が日本で開催、羽生結弦選手・浅田真央選手が金メダルを獲得


・日医、新テレビ番組放送開始「赤ひげのいるまち」、「おはよう日曜診療所」
・県医、「FMAニュース」配信開始
・県医、「福岡県医師会診療情報ネットワーク (とびうめネット)」 を粕屋、若松地区にて開始
・市医、藤原常任理事が看護学校長に就任
・市医井上賢太郎会員(南区)、清澤晋会員 (中央区)、瑞宝双光章受章
・診療報酬改定、本体+0.73%、薬価・材料費−0.63%、全体で+0.1%のプラス改定となったが、消費税補填分1.36%のプラス分を 除くと実質的には−1.26%のマイナス改定
・消費税が17年ぶりに増税され5%から8%になる
・「精神保健福祉法」改正
・福岡市が国家戦略特区に選定される
・チリ沖を震源とするマグニチュード8.2の地震が発生
・熊本県多良木町で高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)ウイルスが検出


日医、専門医制度の確立に向けて日本専門 医機構の設立に調印
日本医師会などの医療関連団体で組織する 国民医療推進協議会が総会を開催、「選択 療養制度(仮称)」への反対決議を採択
 ・総務省、本年4月1日現在の人口推計を公表。 15歳未満の子供の数は前年比16万人減の 1,633万人で33年連続減少。総人口に占める子供の割合は12.8%で40年連続の低下 ・JA全農2014年世界卓球団体選手権東京大会、日本女子31年ぶり銀メダル獲得
・伊豆大島近海を震源とするマグニチュード6.0の地震発生、東京都千代田区で最大震度5弱を記録
・新たな日本の祝日発表。2016年から祝日として「山の日」(8月11日)追加

・日医会長選、横倉会長が無投票で再選
・県医、第3期松田執行部スタート
・県医、県民向け医療情報誌「えがおから医療ブック」創刊
・市医、第3期江頭執行部スタート
・「福岡市精神科医会」が発足
 ・2013年の全国の自殺者数が前年比663人減 の2万7,195人となり、2年連続3万人を下回る
・「医療・介護総合確保推進法」成立。新たな 財政支援制度として都道府県に904億円の 基金が設置
・富岡製糸場と絹産業遺産群の世界文化遺産登録
・サッカー日本代表、ブラジルW杯予選敗退
・プロゴルファー松山英樹選手がアメリカPGAツアー初優勝


・県医、「福岡県医師会診療情報ネットワーク (とびうめネット)」発足式開催
・「第46回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会」開催(別府市)
・「西区医師会30周年記念祝賀会」開催
・市医、平成27年度から地域包括支援センター 30ヵ所(現在19ヵ所)の受託が決定

・2013年の日本人女性の平均寿命が86.61歳 で2年連続長寿世界一となる。男性は80.21歳で初めて80歳を超える
・政府、臨時閣議において「集団的自衛権」の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定
・ベネッセ個人情報流出事件、約760万世帯分の情報が流出
・ネイチャー誌、STAP細胞に関する論文2本を撤回


・「第45回中・四・九地区医師会看護学校協議会」開催(呉市)
・福岡市三師会、福岡市長へ要望書提出
・市医、会員医療機関の証である「会員医療 機関プレート」を作成し配布
・「福岡市医師会オーケストラ第2回定期演奏会」開催
・東北地方医学部新設「東北薬科大」に決定
・厚労省、2013年度「医療費動向調査」の結果を公表。前年度比約0.8兆円増の39.3兆 円となる
・WHO、エボラ出血熱の感染拡大をうけ「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言
・広島市北部で記録的豪雨による土砂災害発生
・69年ぶりにデング熱の国内感染が発覚
・テニス全米オープン、錦織圭選手が準優勝
・台湾・高雄市でガス爆発事故発生、30人死亡、300人以上が負傷


・日医、控除対象外消費税問題に係る「医療界の税制要望」を発表
・市医、「訪問看護ステーション20周年記念式典」 開催
・市医、「第3回地域包括ケア推進のための市民向け講演会」開催
・「早良区医師会30周年記念祝賀会」開催
・厚労省、「2013年医療施設調査・病院報告の結果」を公表。全病床の平均在院日数は30.6日、前年比0.6日短縮。病床数は、病院前年比4,482床減、一般診療所4,257床減
・厚労省、「2014年度の臨床研修医の採用実績に関する調査結果」を公表。臨床研修病院と大学病院の採用割合は、臨床研修病院が57.2%で過去最大
・第2次安倍改造内閣が発足、厚労相には塩崎恭久氏が就任 
・長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山で7年ぶりの噴火、登山客ら50人以上が死亡
・福岡県警、特定危険指定暴力団「工藤會」の最高幹部を逮捕
・元衆院議長の土井たか子さん逝去
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・世界医師会総会開催、「エボラウイルス病に 関する緊急決議」を採択
・「第53回十四大都市医師会連絡協議会」 開催(広島市)
・市医、福岡市医師会マスコットキャラクター 「おっしょ医くん」を常任理事会にて決定
・市医、「第7回福岡市救急医療市民公開シンポジウム」開催
・「城南区医師会30周年記念祝賀会」開催
・市医二ノ坂保喜会員(早良区)、「第3回日本医師会赤ひげ大賞」受賞
・市医、成人病センター電子カルテに全面移行
・厚労省、「病床機能報告制度」の受付を開始
・「水痘」及び「高齢者肺炎球菌ワクチン」定期予防接種開始
・小渕優子経済産業大臣、松島みどり法務大臣が辞任

・マララ・ユスフザイさん最年少17歳でノーベル平和賞受賞決定
・赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏ノーベル物理学賞受賞決定
・高円宮家二女の典子女王と出雲大社神職千家国麿さんが結婚
・プロ野球福岡ソフトバンクホークス3年ぶりの日本一
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・県医、医療モニター制度「メディペチャ」10周年記念誌発刊
・市医竹嶋康弘会員(西区)、旭日中綬章受章
・市医福田量会員(早良区)、瑞宝双光章受章
・福岡市立こども病院移転開院
・安倍首相、消費税10%への増税を2017年4月へ先送り、衆議院解散・総選挙を表明
・福岡市長選挙、現職の島宗一郎氏が再選
・「改正感染症法」が成立。感染症が疑われる者に対し、検体採取の要請を可能とする等の規定が盛り込まれる
・沖縄県知事選挙で翁長雄志氏が現職の仲井眞弘多氏を抑え当選
・第1回「福岡マラソン2014」開催
・無人探査機「ロゼッタ」が世界初の彗星着陸に成功
・俳優の高倉健さん、菅原文太さん逝去
・ユネスコの無形文化遺産に「和紙 日本の手漉和紙技術」が登録
・長野県北部でM6.8の地震が発生
・スキー、ジャンプ男子W杯個人戦で葛西選手 (42歳5カ月)が優勝、W杯最年長記録を更新
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・市医、「医療情報室レポート」200号発行 ・第47回衆議院議員総選挙実施
・「特定秘密保護法」施行
・流行語大賞発表、 「ダメよ〜ダメダメ」、「集団的自衛権」の2語に決定
・小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げ成功
・東京駅開業100周年
・鹿児島・宮崎でで高病原性鳥インフルエン ザ(H5亜型)ウイルスが検出
※ゴシック表記は福岡市医師会関係

医療情報室の目

  ★目指すべき真の改革は“10%”の先にある
 平成26年の世相を表す漢字は「税」。これは、今年4月に17年ぶりとなる消費税増税が実施されたことや、10%への引き上げが議論されたことなどが背景にあるようだ。結果、消費税率10%への引き 上げは1年半先送りされることとなり、社会保障費への充当が予定されていた財源は大きく不足する見込みとなった。先の衆院選では、各党が社会保障の充実を訴えてはいたが、再増税見送りの代替策は明確ではなく、今後の社会保障政策の行方に暗雲が立ち込めている。我が国の少子高齢化の現状は深刻だ。この 20年間で社会保障給付費はほぼ倍の115兆円にまで膨らんでおり、厚労省の試算によれば、11年後の2025年にはさらに30兆円以上が必要になるという。このような状況からすれば、今後税率を10%に上げたとしても、到底、社会保障費をすべて賄うことはできない。政府は、10%引き上げのさらに後を見据えた、社会保障と財政の構造的改革案を早急にまとめる必要があるだろう。
 来年の干支は「乙未(きのとひつじ)」である。私たち医療に携わる者も一丸となって、より国民が安泰や平和を感じられるような医療環境の実現に向けて行動しなければならない。

編 集 福岡市医師会:担当理事 今任信彦(情報企画担当)・松尾圭三(広報担当)・寺坂禮治(地域医療、地域ケア担当)
※平成10年5月より毎月発行して参りました医療情報室レポートは、今号で200号を迎えることができました。 平成27年1月からは隔月(奇数月+12月)発行となります。今後も引き続き本レポートをご覧下さいますようお願い申し上げます。
※ご質問やお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までご連絡下さい。
(事務局担当 情報企画課 柚木(ユノキ))
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