医療情報室レポート
No.188

2013年12月20日発行
福岡市医師会医療情報室
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特集:平成25年をふりかえって

 平成25年は、昨年12月に発足した第2次安倍内閣による金融・経済政策「アベノミクス」により、長く続いたデフレ脱却と景気回復に向けた日本経済全体の期待が高まるとともに、2020年の東京五輪招致の決定など、我が国にとってようやく明るい兆しが見られた1年であったのではないだろうか。  一方、医師会関係では、日本医師会が本年4月1日に公益社団法人として新たにスタートを切り、また、医師の大同団結に向けた指標である「日本医師会綱領」が日医代議員会で採択されるなど、大きな節目を迎えた年であった。加えて、自民・公明両党の大勝となった第23回参議院通常選挙では、日本医師会の組織内候補として羽生田俊副会長が見事当選を果たし、我が国の医療再興に向けて、政界への強いパイプを確保できたことは医療界にとって明るいニュースとなった。  
 今回は、毎年恒例の特集である今年一年の出来事をまとめ、“平成25年をふりかえって”みた。

●平成25年の主な出来事

医師会関係 厚生・行政関係 トピックス


・日医会員数16万5,650人(2012.12.1付)、前年比95人減
・日医、7ワクチンの定期接種化を求める署名運動を実施
・日医連、次期参院選の組織内候補として日本医師会副会長羽生田俊氏の擁立を決定
・日医、「医師養成についての日本医師会の提案 第3版」を発表
・厚労省、2012年人口動態推計の年間推計を公表、出生数103万3,000人で前年比1万8,000人減
・2012年の医療機関の倒産件数は37件。前年比5件増
・アルジェリアで人質拘束事件、日本人10人を含む39人が死亡
・大阪市立桜宮高校で体罰自殺事件発覚
・国土交通省、ボーイング787の運行取りやめを命じる
・バラク・オバマ続投で米国大統領に就任
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・東北医師会連合会、医学部新設に反対する要望書を厚生労働大臣他4名へ提出
・日医主催により世界医師会「ヘルシンキ宣言改訂専門家会議」を開催(東京都)
・厚労省、2011年受療行動調査結果(確定数) を公表。外来患者が初診時に自覚症状がな かった傷病分類別は「悪性新生物」が40.8% で1位、「内分泌、栄養及び代謝疾患」 が40.4% で2位 ・韓国、朴槿恵、同国初の女性大統領として就任
・グアム無差別殺傷事件、日本人3人が犠牲に
・ロシア中部チェリャビンスク州に隕石が落下、負傷者1,200人超
・ノルディックスキーW杯女子ジャンプで高梨沙羅選手が総合優勝、16歳4ヵ月での優勝は史上最年少記録
・元横綱大鵬(故人)が国民栄誉賞を受賞
・エジプト・ルクソールで熱気球爆発墜落事故、日本人4人を含む19人が死亡


・市医、Facebookを開設
・市医、「第2回慢性腎臓病(CKD)市民公開講座」 開催

・日医、「これからの社会保障を考える」をテーマ に医療政策シンポジウムを開催
・市医看護専門学校、看護師養成3年課程の平成27年4月新設を決定
・第107回医師国家試験合格者発表、合格者7,696人、合格率は前回から0.4ポイント減の89.8%
・総務省消防庁が2012年の救急出動状況を公表、580万2,039件で過去最多
・日本の国債(いわゆる国の借金)が2012年度末時点で1,000兆円の大台を突破
・安倍首相、日本のTPP交渉参加を表明
・第266代ローマ教皇にベルゴリオ枢機卿が就任。 呼称は「教皇フランシスコ」
・中国で鳥インフルエンザによる人の死亡が確認
・第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開催、日本は3位
・バンスターズ彗星が地球に接近


・市医、福岡市の指定管理を受け、「福岡市健康づくりサポートセンター」事業開始
・日医並びに県医が1日付けで「公益社団法人」へ移行
・市医、「胃がん個別検診・大腸がん検診20周年記念講演会」開催
・財務省、2012年度の貿易統計を公表、貿易収支は過去最大の赤字額となる1,699億円となる
・公職選挙法の改正案が参院で可決、インターネット選挙運動が解禁となる
・障害者自立支援法が障害者総合支援法に改正
・ヒブ、小児肺炎球菌、子宮頸がんワクチンが定期予防接種に導入
・アメリカ・ボストン爆発テロ事件、3人が死亡、負傷者は170人超
・サッチャー元首相(英)が死去
・東京ディズニーランド開園30周年
・バングラデシュの首都ダッカ近郊で8階建商業 ビル崩壊。死者400人以上、負傷者2,000人以上


・市医、園向けガイドブック「気になる子ども〜その対応と保護者へのアプローチ〜」発刊  ・総務省、本年4月1日現在の人口推計を公表。15歳未満の子供の数は前年比15万人減の1,649万人で32年連続減少
・厚労省「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」、医療事故調査制度の大枠について意見集約
・長嶋茂雄、松井秀喜が国民栄誉賞を受賞
・プロスキーヤー、登山家の三浦雄一郎が世界 最高峰・エベレストに史上最高齢(80歳7ヵ月)で登頂に成功
・九州電力、平均6.23%の電気料金値上げ

・日医、「日本医師会綱領」を第129回日医定例代議員会にて採択  ・2012年の全国の自殺者数が前年2,793人減の2万7,858人となり、15年ぶりに3万人を下回る ・富士山が世界文化遺産に登録
・サッカー日本代表、5大会連続W杯出場決定


・福岡市医師会方式「在宅カルテ」運用開始
・「第45回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会」開催(那覇市)

・日医、TPP政府対策本部に対し「日本のTPP交渉参加に関する意見」を提出
・日医羽生田副会長が約25万票を獲得し、参議院議員に初当選
・2012年の日本人の平均寿命が女性は、86.41歳 で2年ぶりに長寿世界一となる。男性は79.94 歳で過去最高を記録
・第23回参議院議員選挙投開票、自民党が現行選挙下で最高となる65議席を獲得
・成人の風しん予防接種開始
・カネボウ化粧品使用による白斑症状被害事例発生。被害者約5,700人
・山口県萩市で1時間あたり最
 大138.5mmの記録的な豪雨。死者2名、行方不明2名
・フランスカンヌの高級ホテルで4,000万ユーロ(約52億円)相当の宝石が盗まれる
・イギリスのキャサリン妃が第一子となる男児(ジョージ)を出産


・「福岡市医師会成人病センター50周年記念行事」開催
・「第44回中・四・九地区医師会看護学校協議会」開催(北九州市)
・福岡市三師会、福岡市長へ要望書提出
・「社会保障制度改革国民会議」が最終報告書を公表
・手足口病の患者の年間累積数が13万人を突破
・国立がん研究センター、初めて小児がん患者の実数等の集計を発表、2009年〜2011年の3年間で8,902人(男児4,796人、4,106人)うち最も多い白血病と脳腫瘍で全体の半分を占めることが判明
・厚労省、「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告書を公表
・気象庁、近畿など広範囲にマグニチュード7.8の緊急地震速報を誤発信
・高知県四万十市で国内観測史上最高となる気温41.0度を観測
・京都府福知山花火大会露天爆発事故、死者3名、負傷者59名
・楽天の田中将大投手が21試合連続勝利投手の日本プロ野球新記録達成


・市医、「第2回地域包括ケア推進のための市民向け講演会」開催
・市医、「第6回福岡市救急医療市民公開シンポジウム」開催
・厚労省、2012年度医療費動向調査の結果を公表。前年度比約0.6兆円増の38.4兆円 ・2020年夏季オリンピック、東京都が1964年以来2回目となる開催地に決定
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・「第50回九州首市医師会連絡協議会」開催 (大分市)
・福岡市健康づくりサポートセンター、「1回元気!長生き!いきいき健康セミナー」開催
・「第52回十四大都市医師会連絡協議会」開催(福岡市)

・日医の横倉会長、今村副会長が医学部新設や次期診療報酬改定等の問題について安倍総理と会談
・市医、「有床診療所の防火管理体制に関する要望書」を福岡市長へ提出
・安倍内閣、2014年4月より消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを発表
・米医療保険制度改革(オバマケア)の目玉 政策である「エクスチェンジ」が開始
・米国、オバマケアを巡り政権与党と野党が対立。予算案が成立せず一部政府機関が17年ぶりに閉鎖
・熊本市で開催の国際連合環境計画(UNEP) 主催の会議で、水俣条約採択
・福岡市博多区の整形外科で火災発生、10人が死亡
・JR九州豪華寝台特急「ななつ星in九州」運行開始
・台風26号により伊豆大島で記録的豪雨となる。死者35名、行方不明4名
・老舗ホテルや飲食業者における食材偽装問題が相次いで報道される
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・日医、新テレビCM放送開始
・日医、日本獣医師会との間で「学術協力の推進に関する協定」を締結
・厚労省、インターネットによる市販薬販売に関し、医療用医薬品から一般用医薬品に切り替えて3年経過後にインターネット販売を解禁する等の方針を公表 ・台風30号がフィリピンを直撃、最大瞬間風速87.5m/sを記録、甚大な被害
・プロ野球東北楽天設立9年目で初の日本一
・2012年12月の衆院選を巡る医療グループ「徳洲会」の公職選挙法違反事件で、徳田毅衆議院議員の姉ら6人を逮捕
・中国、東シナ海の尖閣諸島を含む上空を防空識別圏に設定
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・日本医師会などの医療関連団体で組織する国民医療推進協議会、「国民医療を守るための総決起大会」開催
・日医横倉会長、麻生太郎財務相と会談、次期診療報酬改定において診療報酬本体とネットともにプラス改定とするよう要望
・特定秘密保護法成立
・社会保障制度改革プログラム法成立
・与党、2014年度税制大綱を決定
・流行語大賞発表、過去最多4語に決定「今でしょ!」「お・も・て・な・し」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」
・「和食 日本人の伝統的な食文化」が無形文化遺産に登録される
・北朝鮮ナンバー2の張成沢国防副委員長が死刑
・サッカー日本代表本田圭佑、イタリアACミランへの移籍が決定
・フィギュアスケートグランプリファイナルが福岡で初開催、羽生結弦が初優勝
※ゴシック表記は福岡市医師会関係

医療情報室の目

  平成25年の世相を表す漢字は「輪」。これは、2020年の東京五輪の招致決定やプロ野球東北楽天イーグルスの日本シリーズ初優勝など、チームワークの大切さ、また災害での助け合いや支援の"輪"の広がりが印象づけられたとして選ばれたそうだ。
  ところで、今年も医療に関するトピックは色々とあったが、8月に社会保障制度改革国民会議が取りまとめた最終報告書は、我が国の中長期的な社会保障政策・医療提供体制のあり方を具体的に示したという点で非常に重要なポイントといえるだろう。  
  同報告書に記された少子化対策・医療・介護・年金の社会保障4分野については、今臨時国会で成立した「社会保障制度改革プログラム法」の工程に沿って、今後、詳細な制度設計が詰められていくことになるが、他方では、安倍成長戦略の「国家戦略特区構想」の中で、国際医療交流の拠点として、保険外併用療養費制度の拡大や医学部の新設といった大胆な医療の規制緩和が描かれており、今後の流れを注視しておく必要がある。
 来年は、診療報酬改定や第6次医療法の改正などが予定されている。医療界にとっては引き続き大きな改革の波が押し寄せるが、我々医師会員は、国民の連帯と支え合いに基づく国民皆保険制度を守るため、さらなる団結の"輪"を広げていかなければならない。

編 集 福岡市医師会:担当理事 今任信彦(情報企画担当)・松尾圭三(広報担当)・寺坂禮治(地域医療、地域ケア担当)
※ご質問やお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までご連絡下さい。
(事務局担当 情報企画課 柚木(ユノキ))
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