医療情報室レポート
 

bP52  
 

2010年12月17日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1505・FAX852-1510 

印刷用



特集:平成22年をふりかえって

 平成22年は政権交代による大胆な改革・改正が期待された年であった。しかしながら去る12月3日に閉幕した臨時国会では郵政改革法案を始めとする多くの法案が来年に持ち越される結果となる等、党派を超えた新しい政治の形は未だ見えてこない。加えて鳩山前総理の辞任、普天間や尖閣諸島に代表される外交問題、大臣の度重なる失言など、政局の混乱だけが印象に残る一年であったように感じる。
 一方、医師会に関しては、日医において従来のキャビネット制によらない会長選が実施され、民主党に太いパイプを持つ原中勝征会長が当選、福岡市医師会においても江頭啓介会長率いる新執行部がスタートするなど大きな節目の年となった。
 今回は、毎年恒例の特集として今年一年の出来事をまとめ、“平成22年をふりかえって”みた。


●平成22年の主な出来事

医師会関係 厚生・行政関係 トピックス
1月
日医会員数16万5,883人(2009.12.1付)、対前年比0.3%の微増
市医、役員選挙において次期会長に江頭啓介会員(城南区)を選出
日医、診療所の点数引き下げによる再診料統一に反対
日医、民主党と初の勉強会
市医、市民向け健康情報誌「はーとふるふくおか」最終号発行
厚労省、2009年人口動態推計の年間推計公表、出生数(106万9,000人)前年比22,000人の大幅な減少
厚労省、「自殺・うつ病対策プロジェクトチーム」を設置
2009年の医療機関の倒産件数は過去最高の52件に
肝炎対策基本法施行
ハイチでマグニチュード7.0の地震が発生
福岡県前原市、志摩町、二丈町合併により糸島市誕生
日本航空、東京地裁に会社更生法適用を申請
2月
森洋一京都府医師会長、4月の日医会長選挙への立候補を表明
日医、「国のありかたを考える−平時の国家安全保障としての医療」をテーマに医療政策シンポジウムを開催
日医、質の高い健診・保健指導実施機関の育成などを支援する「日本医学健康管理評価協議会」を全日本病院協会など10団体と共同で設立
日医、医学部新設に反対を表明
市医制作のTV番組「はーとふるドクター」放送終了
市医臨床検査センター50周年記念祝賀会
政府、「社会保障と税に関わる番号制度」に関するプロジェクトチームを設置
厚労省、「特定看護師」の創設を提案
政府、協会けんぽに対する財政支援策などを盛り込んだ「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定
石垣島で日本最古となる2万年前の人骨発見
バンクーバー冬季オリンピック開催
チリにてマグニチュード8.8の地震が発生
3月
日医、保険医新規登録の集団指導時に託児室の併設措置が望ましいとする要望書を厚生労働省に提出
市医成人病センター、病院機能評価Ver.6.0で更新
市医臨床検査センター50周年記念誌発行
市医、新型インフルエンザの沈静化に伴い急患センター特別体制を完全解除
市医樋口正士会員(南区)、公衆衛生事業功労者厚生労働大臣表彰受賞
「出産育児一時金直接支払制度」完全実施を見送り(猶予措置を来年3月まで延長)
第104回医師国家試験合格者発表、合格者7,538人、合格率89.2%、男女とも合格率が下がる
黄海で韓国の哨戒艦「天安」が沈没。乗組員46名が死亡
モスクワ中心部の地下鉄2駅で連続自爆事件が発生、39人が死亡
JR東日本、JR九州、西日本鉄道グループ、福岡市営地下鉄において使われている交通系ICカード「Suica」、「SUGOCA」、「nimoca」、「はやかけん」の相互利用開始
4月
市医、江頭執行部による新体制スタート
市医成人病センターに信友浩一院長が就任
日医役員選挙、次期会長に原中勝征会員を選出、筆頭副会長に福岡県の横倉義武会員を選出
県医、横倉前会長の退任に伴い、新会長に松田峻一良会員(福岡市)を選出
市医山本裕士会員(中央区)、瑞宝双光章受賞
平成22年度診療報酬改定、診療報酬全体(ネット)で10年ぶりに0.19%のプラス改定。再診料は診療所が引き下げ、病院が引き上げられ統一される
子ども手当法、高校無償化法が施行
厚労省、介護保険事業に関する疑義解釈をまとめた「介護サービス関係Q&A集」を作成
福岡県暴力団排除条例施行
厚労省、強毒型新型インフルエンザが発生した際の業務継続計画を策定
タイ各都市の中心部をタクシン前首相支持派団体が占拠。治安部隊との衝突により日本人ジャーナリストを含む多数の死者が出た
中国青海省・チベット自治区でマグニチュード7.1の地震が発生
アイスランド南部のエイヤフィヤトルヨークトル火山が噴火
中国で日本人に死刑執行
5月
日医連、7月の参議院選挙において民主党安藤高朗氏の推薦、自民党西島英利氏・みんなの党清水鴻一郎氏の支援を決定
日医、日本の医療に対する満足度が「先進・新興22ヵ国中最低レベル」とのロイター通信の報道に「日本の医療、医療制度の質の高さと国民の満足度、信頼度は高い水準にある」と反論
中医協、24年度改定に向け、「技術とモノの評価の分離」などの検討課題を提案
厚労省、「行政事業レビュー」で保険医療機関等への指導・監査を更に強化する方針を示す
厚労省、全国の病院と分娩取扱診療所を対象に「必要医師数実態調査」を実施し、医師不足の実態調査に乗り出す
上海国際博覧会開催
イギリス、デービット・キャメロン保守党党首が新首相に任命される
宮崎県の家畜伝染病口蹄疫問題で東国原宮崎県知事が非常事態を宣言
6月
日医、「新成長戦略」に対する見解を発表
日医の「会長選挙制度に関する検討委員会」委員に江頭会長が就任
政府、社会保障を成長分野に位置づける「新成長戦略」を閣議決定
厚労省、高齢者は原則として国保に加入し、サラリーマンと被扶養者は被用者保険に加入する案を提示
内閣総理大臣鳩山由紀夫氏が退陣を表明
菅直人氏が第94代内閣総理大臣に就任
小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還
オーストラリア、ジュリア・ギラード氏がオーストラリア史上初の女性首相となる
2010年FIFAワールドカップが南アフリカで開催。日本がベスト16に進出

医師会関係 厚生・行政関係 トピックス
7月
日医、全患者が明細書発行を希望した診療所が26,5%あった一方、全患者が希望しなかった診療所も13.0%あったとするアンケート結果を公表
参議院選挙、民主党惨敗。ねじれ国会に。日医連推薦・支援の3候補は全員落選
「第42回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会」開催(鹿児島市)
平成22年度女性特有のがん検診推進事業(無料クーポンによる検診)実施
福岡市暴力団排除条例施行
改正臓器移植法が全面施行
平成23年度の予算概算要求組換え基準を閣議決定。各省庁一律1割の予算削減義務化について社会保障費は対象外となる
平成20年度平均寿命男性79.59年、女性86.44年。女性は25年連続長寿世界一を達成
東京足立区で戸籍上で111歳だった男性のミイラ化した遺体が発見される。後に全国的な所在不明高齢者問題へと発展
8月
日医、長妻厚労相の「うつ病についての薬漬けの問題」発言に懸念の意を表明
日医、診療所や小規模病院の苦戦を伝えるレセプト調査の結果を発表
日医、ホメオパシーの効果を否定する日本学術会議の会長談話を全面的に支持
「第41回中・四・九地区医師会看護学校協議会」開催(大分市)
日本脳炎予防接種2期対象者への接種が約5年ぶりに再開
厚労省、国内産の新型インフルエンザワクチンの買い戻しを決定
厚労省、平成20年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表。実施率は健診38.3%、指導7.8%と目標値に遠く及ばず
「年金・健康保険福祉施設整理機構」の解散を2年延長する議員立法が成立
チリ共和国アタカマ州コビアボ近郊のサンホセ鉱山で落盤事故が発生。33名の作業員が閉じ込められたが69日後の10月13日に全員が救出される
4〜6月期の名目GDP、中国が日本を抜いて世界第2位となる
海上保安庁のヘリが墜落。乗っていた5人全員が死亡
9月
日医、ワクチン定期接種化・公費助成を目指すキャンペーン「希望するすべての子どもに予防接種を!」を実施
細川厚労相が、就任の挨拶に日医会館を訪れる
市医、福岡県警と「高齢者の交通事故防止に関する協定書」を締結
福岡釜山フォーラム開催(釜山)
「第49回十四大都市医師会連絡協議会」開催(横浜市)
市医、「福岡市救急医療市民公開シンポジウム」開催
市医野口耕一会員(南区)、救急医療功労者厚生労働大臣表彰受賞
厚労省、平成23年度末で介護療養病床を廃止する方針を見直し
2009年人口動態推計で出生率1.37、昨年度と同水準で上昇は3年でストップ
厚労省、元特別医療指導監査官の逮捕を受け、「保険医療機関等に対する指導・監査の検証及び再発防止に関する検討チーム」を設置
福岡市国民健康保険の特定健診の愛称が「よかドック」に決定
尖閣諸島付近の海域で日本の巡視船と中国漁船の衝突事故が発生。同漁船の船長を公務執行妨害で逮捕。18日後釈放するが中国政府は日本に謝罪と賠償を要求
日本振興銀行が経営破綻を申請。ペイオフが初めて発動される
MLBマリナーズのイチロー、10年連続200本安打達成
10月
新型を含むインフルエンザワクチン接種
開始
日医、「希望するすべての子どもに予防接種を!」キャンペーンと連動する新CMを放送開始
日医、次期診療報酬・介護報酬同時改定に向けてプロジェクトチームを設置
市医、急性心筋梗塞ワーキンググループを設置
日医、四病院団体協議会との連名による税制改正要望書を取りまとめ、消費税の非課税制度の改善や診療報酬に対する非課税措置の存続など9項目を要望
「第47回九州首市医師会連絡協議会」開催(下関市)
たばこ税増税実施
国勢調査実施
厚労省、70〜74歳の患者負担割合を法定通り2割とすることを提案
政府、社会保障サービスの水準・内容やその財源を一体的に議論することを目的に「社会保障改革検討本部」を設置
根岸英一パデュー大学特別教授、鈴木章北海道大学名誉教授がノーベル化学賞を受賞
尖閣諸島抗議デモが日本全国各地で行われ日本を除く世界中の主要メディアで報じられる
東京国際空港(羽田空港)で国際定期便の運行が開始
日銀、4年ぶりとなるゼロ金利を容認する追加金融緩和を決定
奄美大島で記録的な集中豪雨。3人が死亡
11月
市医、訪問看護ステーション・ケアプランセンターを市内7ヵ所から3ヵ所に統合。1日に統合移転式典を開催
日医、「国民の安心を約束する医療保険制度」を発表し、公的医療保険制度の全国一本化や患者の窓口負担をゼロとすることなどを提言
市医池田俊彦会員(勤務医会)、瑞宝小綬章受賞
福岡市市長選挙が実施され、新人の島宗一郎氏が現職らを抑え当選
診療報酬の事業税非課税措置を2011年度も存続させることが政府税制調査会で決定
内閣官房、統合医療と保険診療の併用を検討するよう厚生労働省に要請
指定都市市長会、HPVワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種は全額国庫負担による制度とするよう政府に要請
尖閣諸島中国漁船衝突事件のビデオが海上保安官の手によりインターネット上に流出
ミャンマーで20年ぶりに総選挙が実施。軍事政権が支持する与党が80%の議席を獲得
ミャンマーの民主化指導者アウンサンスーチー氏が自宅監禁から7年半ぶりに解放
北朝鮮軍が韓国・延坪島に対しロケット砲にて砲撃。韓国兵士・民間人併せて4人が死亡
島根で鳥インフルエンザによる鶏の死亡が確認される
裁判員裁判で初の死刑判決
12月
日医、准看護師課程の今年度入学倍率が過去5年で最高倍率であった調査結果を発表
日医、TPPへの参加によって、医療分野で規制改革の流れが加速する危険性があるとし「国民皆保険」を一律の『自由化』にさらさないよう政府に要求
診療報酬を除いた医療法人の所得にかかる事業税軽減措置を2011年度も存続させることが政府税制調査会で決定
厚労省・小宮山洋子副大臣、政府税制調査会でたばこ税の2年連続の増税を求める
秘密指定の政府文書を大量に暴露した内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ氏が強姦容疑で逮捕
チリの刑務所で火災が発生、81人が死亡


<医療情報室の目>
 平成21年は多くの変化が生まれた年であったが、平成22年はその変化が更に加速した年になった。政治は混迷を続けているが、元に戻った方がよいという言葉はあまり聞かない。やはり一度始まった変化を止めることは出来ないのだろう。激しい円高は一見不可解にも見えるが、欧米情勢を鑑みると何とかまともな国は日本ぐらいしかないことも分かる。医療界においては診療報酬は公約ほどの上昇は無かったが、自民党時代に引き下げられ続けた診療報酬をプラス改定に持っていったという一定の成果はあったと考える。一方、本夏の参議院選挙では日本医師連盟推薦・支援の候補が3人とも落選するという事態となってしまった。しかしながら、医師の国会議員は今回の当選者3名を含め15名もおり、決して医療界と政治のパイプが失われたわけではない。今までのような推薦議員による繋がりではなく、我々と政治との繋がり方も変化しないといけない時期に来ているのだろう。
 とは言いつつも、これらの変化もそろそろ決着を付けなければならない時に来ているとも考える。平成23年を漢字一字で表すとしたら決着をつける「決」としたい。

 ご質問やお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までご連絡下さい。
   (事務局担当 情報企画課 下田)

  

担当理事 原  祐 一(広報担当)・原村耕治(広報担当)・竹中賢治(地域医療、地域ケア担当)


  医療情報室レボートに戻ります。

  福岡市医師会Topページに戻ります。