医療情報室レポート
 

bP24  
 

2008年 9月 26日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集 :福岡市医師会方式脳血管障害地域連携パス
 

 本年4月よりスタートした第5次医療法改正に基づく「新地域医療計画」では、がん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病の4つの疾病と小児救急医療・周産期医療・救急医療・災害医療・へき地医療の5つの事業ごとに医療連携体制を構築し、急性期から在宅まで切れ目のない医療を提供できるようにしなければならないとされている。
 脳卒中は、本年度の診療報酬改定において、「地域連携診療計画管理料・地域連携診療計画退院時指導料」の対象疾患に新たに追加され、厚労省は、診療報酬上の手厚い評価により、脳卒中のリハビリを充実させるとしている。
 我が国では、脳卒中は、がん・心疾患に次ぐ死因の第3位であり、寝たきり状態の患者の原因疾患の第1位であることから、脳血管障害の予防や治療対策は、ますます重要性を増している。
 福岡市医師会では、福岡市の医療供給体制に合った地域医療連携を構築する為、平成19年6月に「脳卒中ワーキンググループ」を立ち上げ、急性期病院の先生方と協議を重ね、脳卒中の医療連携パスモデルを策定した。併せて、年に数回「地域医療連携ワークショップ」を開催し、地域医療計画についての講演や、地域医療連携に関連する情報交換等を実施している。
 今回は、本パスの特徴や運用のポイント等、本会が構築した「福岡市医師会方式脳血管障害地域連携パス」を紹介する。


●地域連携パス構築の必要性
地域医療計画とは?
都道府県が作成する地域医療計画において、医療機関でどのような診療が行われているか等、地域の保健医療体制の姿を住民・患者の視点に立ってわかりやすく示す。
事業毎に医療連携体制を構築することによって、地域の医療機関相互の連携下で、医療サービスが切れ目なく提供されるようにする。
医療法第30条(要約)
 都道府県は、厚生労働大臣が定める方針に即して、かつ、地域の実情に応じて当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画を定めるものとし、少なくとも5年ごとに目標の達成状況、調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、医療計画を変更するものとする。
医療連携体制の構築
(4疾患) (5事業)
@がん A脳卒中 B心筋梗塞 C糖尿病 @小児救急医療 A周産期医療 B救急医療 C災害医療 Dへき地医療

●脳卒中の地域連携パスについて

予防管理を含めた脳血管障害医療のさらなる向上を目的とした「福岡市医師会方式脳血管障害地域連携パス」

パス運用のポイント〜キーワードは「脳卒中ではなく脳血管障害」〜
福岡市は、脳卒中急性期病院や専門診療所も多く、発作を起こして倒れる前の段階から、かかりつけの医師と専門病院で緊密な医療連携が行われており、また、回復期リハビリ病棟も全国平均を上回っている。
地域連携パスは、行政なども含めた地域全体が連携しながらの治療管理であり、個々の病院同士のパスにとどまらない。患者本位の地域連携パスを作成し、脳血管障害の連携医療を地域全体で向上させていく必要がある。
本パスは、脳血管障害の予防を重視し、専門病院とかかりつけの医師による双方向の情報共有による予防管理を基本としている。
さらに、いったん脳卒中を発症した患者もリハビリテーションと再発予防に力を入れ、各連携医療機関間でのトータル管理で医療の質を高めている。
地域の連携医療の情報共有の方法は、双方向共有型と複雑循環型に大きく分けることが出来る。双方向共有型は、ハイリスク脳血管障害患者、軽症の脳卒中発作患者などが対象であり、複雑循環型は、主に中等度以上の脳卒中を発症した場合で、かかりつけの医師からスタートし、急性期病院・回復期病院・維持期医療機関が病状に応じて適宜連携を取っていく方法である。

<医療情報室の目>
 脳卒中発作の約半数は軽症であり、退院後は自宅に戻り、地域のかかりつけ医に通院する場合が多く、このような軽症例では、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動・肥満等生活習慣の改善と再発予防が重要な為、地域医療全体での包括的な管理が必要である。重症の場合は、専門的な治療と併せて、より良い環境での看護・介護など継続的なケアが求められる。このような観点から、医療圏の枠を越えた同一様式のパスを活用することで、急性期・回復期・維持期の医療機関での一貫した継続的なケアを可能とし、また、患者情報を集約し、実態を把握することにより、効果的な医療サービス体制を構築することが可能となる。
 今回紹介した「福岡市医師会方式脳血管障害地域連携パス」は、脳卒中の神経所見の変化を評価する世界標準スコア「NIHSS」や脳卒中の予後判定に広く取り入れられている「modified Rankin Scale」を用い、多くの医療機関が本パスを活用することで、医療情報を統一・共有できるように構築されている。併せて、本パスを利用する医療機関から情報提供を受け、疫学的データの収集や解析を行い、脳卒中の治療・医療連携を向上させる効果も期待している。また、脳卒中に係る診療報酬として認められる「地域連携診療計画管理料・地域連携診療計画退院時指導料」の算定施設基準として義務付けられている年3回程度の連携医療機関同士の会合のうちの1回として、本会が開催している「地域医療連携ワークショップ」が福岡県社会保険事務局 より認められていることもあり、多くの医療機関が本パスを活用し、脳卒中の医療連携の知識の共有、活発な医療情報の交換を推進し、信頼と温かみのある医療が提供されることを 願ってやまない。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 工藤 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 原  祐 一(広報担当)・竹中 賢治(地域医療担当)・徳永 尚登(地域ケア担当)


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