医療情報室レポート
 

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2005年12月26日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集:平成17年をふりかえって

平成17年、福岡は震度6弱の地震に襲われ全国いかなる場所に於いても災害対策を緊急に備える必要があることを知る年の始まりになった。国内では「2005年日本国際博覧会」(愛・地球博)の開催や、郵政民営化を巡る衆議院解散・総選挙、また、列車事故や航空機の相次ぐトラブル、子どもを狙った凶悪犯罪などの事件が続く年でもあった。
国外では数年来続いているテロ事件の頻発、そして地震やハリケーン等自然災害が起こった。
医療においては来年の診療報酬・介護報酬の改定を控え、年末に政府・与党は「医療制度改革大綱」を決定、診療報酬・介護報酬はマイナス改定となる等、来年へ不安を残す年末を迎えることになった。
今回は年末特集として今年1年間の出来事を纏め“平成17年をふりかえって”みた。
  

医師会関係 厚生行政関係 主な出来事
1月
市医臨床検査センター「DDLight(Doctor's Desk Light)」(検査データ蓄積等システム)開始
市医「スマトラ沖地震インド洋津波災害救援義援金」を日医へ
2004年人口動態推計の年間推計発表、出生数(110万7000人)4年連続過去最低
厚労省発表 要介護認定者が400万人越、介護保険発足時の2倍近くに
経済財政諮問会議05年検討課題決定、歳出・歳入の一体改革、社会保障制度の一体的見直し 等
阪神淡路大震災から10年
イラク国民議会選挙
NHK一連不祥事で会長辞任
広島県の老人ホームで7人ノロウイルス感染死亡
年末年始に大量の偽札が広範囲で使用
福岡ソフトバンクホークス発足
2月
日医 糖尿病対策推進協議会設置
市医 個人情報保護法対策講演会開催
厚労省 H16.12基本的合意に基づく国内未承認材料と保険診療との併用実施合意
特区での全面解禁は不可
厚労省 臨床研修終了基準の検討開始
経済財政諮問会議が医療など公的給付の伸び率管理を提案
国内初、変異性クロイツフェルト・ヤコブ病患者厚労省確認
三宅島の島外避難指示4年ぶり解除
京都議定書発効
ライブドアによるニッポン放送株取得、フジテレビとの対立騒動
北朝鮮、自衛目的の核兵器製造発表、6ヶ国協議への参加取りやめ
3月
日医 個人情報保護法対策「医療機関における個人情報の保護」冊子作成
県医 地域医療支援病院の承認要件緩和について「承認に関する見解」策定
市医 第1回大規模災害対策プロジェクト開催
福岡県西方沖地震で市医会館にも被害
市医 研修医入会制度創設
政府「規制改革・民間開放3か年計画(改定)」から医師免許更新制度の導入は削除
一般会計総額82兆1829億円の05年度予算案成立、社会保障関係費20兆2240億円
医師国家試験合格者発表、合格者7568人、合格率89.1%、女子の割合33.7%
福岡県西方沖地震(M7.0)発生。福岡県と佐賀県南部で震度6弱、死者1名
2005年日本国際博覧会「愛・地球博」開幕
西武鉄道株問題、コクド前会長が証券取引法違反容疑で逮捕
スマトラ島沖地震再発生(M8.7)
4月
市医 震災フォーラム第1部「災害と子どもの心のケア」(福岡市医師会館)
市医 乳がん検診、マンモグラフィ・視触診併用検診開始
国保改正法施行
個人情報保護法施行
ペイオフ完全施行
厚労省公表 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
厚労省発表 04年HIV感染者・エイズ患者合計1,000件越し過去最高
JR福知山線脱線事故発生、死者107人・負傷者555人 JR史上最悪
静岡市が14番目の政令指定都市に
カネボウ粉飾決算問題発覚
ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世死去、新教皇にベネディクト16世
北京で1万人による反日デモ
5月
市医 震災フォーラム第2部「ITを活用した防災対策」(タカクラホテル)
市医 研修医入会オリエンテーション
厚労省 訪問看護サービスの多機能化に向けたモデル事業実施
財務省発表 社会保障給付費試算、経済成長率に伸び抑制で15年度には12兆円 削減、一般会計の長期試算で15年度に 消費税率19%
小泉首相の靖国神社参拝で中国、韓国が批判
各地で線路への置き石、列車オーバーラン等相次ぐ
2004年度確定申告の高額納税者公表、一般サラリーマンが始めて納税者一位に
日本道路公団発注の橋梁工事談合事件で業界団体幹事が逮捕
北朝鮮、日本海に向けミサイル発射
6月
日医 医療制度改革に対する独自案発表
日医 税制改正要望、持ち分有り医療法人の存続、消費税損税解消等
第37回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会が名護市で開催
市医「モバイル一斉連絡システム」運用開始
改正介護保険法成立
介護予防サービス導入、食住費自己負担等
骨太方針05閣議決定、マクロ指標による社会保障費の伸び率管理は削除、医療費適正化は政策目標設定 など
アスベスト(石綿)による人体への被害問題
沖縄戦終結60周年、「沖縄全戦没者追悼式」
山口県の県立高校で高3男子生徒が教室に自製爆弾を投げ込み、58人けが
東京都板橋区の社員寮で管理人夫妻が高1年の長男に殺害、ガス爆発
住宅リフォーム詐欺問題顕在化
7月
日医「臨床研修終了後の医師教育に関 するプロジェクト委員会」設置
市医 震災フォーラム第3部市民公開講座「災害・医療フォーラム福岡」(メルパルク)
政府 神奈川県申請の株式会社医療経営参入特区計画認定決定
政管健保04年度単年度収支決算2,405億円の黒字まで改善、2年連続黒字決算
中医協有識者会議 最終報告で病院代表参画正式決定、日医推薦枠維持
04年平均寿命男性78.64歳、女性85.59歳で、男女とも過去最高
ロンドン同時爆破事件発生、死者55人、負傷者1,000人以上
エジプト同時爆破テロ
知床半島、世界自然遺産への登録
千葉県中心 関東南部で震度5強の地震
スペースシャトル「ディスカバリー」打ち上げ野口聡一氏搭乗
8月
日医「医療事故防止研修会」開催
第36回中・四・九地区医師会看護学校連絡協議会(福山市)
市医 会員数2,000名突破
「2003年度国民医療費の概況」発表、
国民医療費31兆5375億円で前年比1.9%増
厚労省2006年予算概算要求、前年度予算比3.5%増、21兆5415億円
第二次世界大戦(太平洋戦争)終戦後60年
郵政民営化関連法案が参議院で否決小泉内閣は衆議院解散・総選挙へ
JAL機福岡空港でエンジンから出火
高校野球、代表校不祥事相次ぐ
ハリケーン「カトリーナ」米国フロリダ州上陸、約1,200人の死者。
略奪、衰弱死等多発原油価格も高騰リッター当131円に
9月
第42回九州首市医師会連絡協議会が長崎市で開催
市医 第1回臨時代議員会にて福岡市新病院構想参画承認
社会保障審議会・介護給付分科会で06年介護改定論議が本格化
社会保障審議会医療保険部会で診療報酬改訂に向け議論開始
病院代表の推薦で遅れた中医協再開、「診療報酬改訂結果検証部会」設置
第44回衆議院総選挙、自民党が296議席で圧勝、公明党を含む与党が2/3超
阪神高速道路で走行中の車を狙い改造エアガンによる狙撃事件
香港ディズニーランド開業
福岡市アイランド花どんたく開催
台風14号、九州・中国地方で土砂崩れや道路陥没などで死傷者多数
10月
日医 診療報酬3%以上の引き上げを厚労相へ要望
日医 国民向けパンフ「世界トップレベルの医療を提供するために」作成
福岡市急患診療センター日医標準レセプトORCA導入(平日夜間)
市医 中央区医師会創立30周年
市医 東区医師会創立30周年
経済財政諮問会議マクロ経済指標導入、診療報酬本体引き下げ要求
厚労省 来年の医療法改正で医療情報届出義務化の方針
厚労省 医療制度構造改革試案発表、
医療費適正化計画や都道府県毎の診療報酬改定 等
第3次小泉改造内閣発足 新厚生労働相に川崎二郎氏就任
日本道路公団など道路4公団民営化
郵政民営化関連法案成立、自民党は反対票を投じた議員を除名
第18回国勢調査、回答拒否や調査員を装う事件などトラブル多発
プロ野球千葉ロッテマリーンズ31年ぶり優勝
九州国立博物館開館
バリ島で同時爆弾テロ
パキスタン北東部でM7.6の地震
フランス全土で若者中心の暴動発生
11月
「国民皆保険制度を守る国民運動」
署名活動や啓発集会、全国で展開
第44回十三大都市医師会連絡協議会が北九州市で開催
市医 博多区医師会創立30周年
厚労省試案の都道府県単位の医療費適正化に地方団体反発
厚労省 08年度開始の高齢者医療制度に後期高齢者の診療報酬創設検討開始
厚労省 「薬価制度改革の骨子(たたき台)」2年毎の薬価改定見直し頻度等
厚労省 レセプト請求11年度からオンライン化方針
天皇家 紀宮さまと黒田慶樹氏ご結婚
建築設計事務所によるマンションなど構造計算書の偽造発覚
広島小1女児殺害事件、日系ペルー人逮捕
東京証券取引所で株式売買システム障害発生
大相撲 横綱 朝青龍 史上初7連覇、年間6場所制覇
12月
「国民皆保険制度を守る国民運動」署名1660万人超に
政府・与党医療改革協議会「医療制度改革大綱」決定、療養病床食住費自己 負担、新高齢者医療制度創設、中医協委員の団体推薦制廃止 等
06年度診療報酬改訂−3.16%(本体1.36% 薬価1.8%)、介護報酬−0.5%に
一連の耐震偽装問題で関係者等、国会で証人喚問、大規模な家宅捜索
栃木県小1女児殺害事件
京都で学習塾講師が小6殺害
真冬並みの寒波で全国的に低温に
みずほ証券、株価と株数を逆にして株大量発注ミス


<医療情報室の目>
平成17年12月、政府・与党医療改革協議会は「医療制度改革大綱」で診療報酬のマイナス改定と中医協委員の団体推薦枠の廃止を決定した。来年の診療報酬の改定率はマイナス3.16%で過去最大、平成14年のマイナス2.7%と合わせてマイナス5.86%にもなり、医療従事者は増えているにも拘わらず、医療機関は更に厳しい経営状況を強いられ続けることになった。 政策決定の過程には、当事者である医師会の意見を述べる間もなく、異論を認めない小泉首相の強い意向により決定された。 医療に関する政策決定のあり方に一つ重大な局面を迎えたと捉えることが出来、 医療界を代表する医師会として今後どの様に発言を行っていくか大きな課題である。
一方、国民に向けた医師会の見解・意見の広報についても、従来から日医では広報のあり方について検討を重ねてきてはいるが、 多様なメディアが増え、情報が溢れているこの現状の中で、如何に様々な場面で各方面に対して意見 を伝えていくのか、もう一つ残された大きな課題ではないかと考える。
来年も様々な医療情報を解りやすくお伝えしていきたいと考えております。平成18年も宜しくお願い致します。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 津 田 泰 夫(広報担当)・入 江 尚(情報担当)・大 木 實(渉外担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)


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