医療情報室レポート
 

bW8  
 

2005年 8月 26日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

印刷用

特集:新医師臨床研修制度 −その2−

 新医師臨床研修制度が昨年平成16年度からスタートして既に1年半が経過しようとしている。新しい研修制度の特徴は、@臨床研修の必修化 Aマッチングシステム(研修プログラムと研修医の希望との最適の組み合わせを実現するためのシステム)の導入 B地域医療実践病院の臨床研修への参加拡大 Cプライマリケア重視の臨床能力の習得 D指導体制の充実 E研修医の給与・指導医への支援保証などである。
 当事者である研修医や指導医、研修病院にとっては手探り状態の1年であり、また、本制度への関わりが、将来の医療を担う研修医と更には今後の地域医療の在り方にも大きな影響を与えることから、本会としても1地域医師会として本制度へどの様に関わりを持っていくか、試行錯誤を重ねた1年であった。
 今回は福岡市医師会における本制度への取り組みについてまとめてみた。



福岡市医師会の取り組み

  ★新医師臨床研修対策会議

  メンバー 本会役員8名
  開催回数 7回(H16.6〜H17.3)
  協議事項 @新医師臨床研修制度への福岡市医師会への取り組み
      A研修医対象の講演会
      B新医師臨床研修制度に関するアンケート調査
      C運営協議会設置
      Dホームページへの掲載
      E実施研修会


  ★新医師臨床研修制度福岡市医師会運営協議会

  メンバー 本会役員8名、各専門医会長11名、臨床研修病院11名
  オブザーバー 福岡県医師会副会長、九州厚生局局長・医事課長・医事係長
  開催回数 2回(H16.10〜H16.12)
  協議事項 @研修医対象の講演会
      Aホームページへの掲載
      B実地研修会
      C研修医入会オリエンテーション開催




  ★研修医入会検討プロジェクト

  メンバー 本会役員8名
  開催回数 3回(H16.9〜H16.10)
  協議事項 研修医の本会入会受け入れ体制


  ★研修医入会オリエンテーション

  開催日時 平成17年5月23日(月) 19時
  開催場所 福岡市医師会館 8階講堂
  対 象 者 市内11の研修病院所属の研修医
  研修内容 医師会活動、医学会と医師会について、医道倫理、
      医療保険・介護保険制度、会員異動、医事調停、
      医療機能の分担について(病病・病診連携)、
      広報、会員福祉(医師協同組合)
  出 席 者 研修医44名 指導医4名





福岡市医師会への入会

  福岡市内には11の臨床研修病院があり、
研修医の総数は500名弱。
平成17年8月現在、福岡市医師会への
入会者数は21名であり、本会としては
今後も研修医の入会促進に努めていきたい。
臨床研修病院 福岡市医師会入会者数
日医・県医・市医 市医のみ
国立病院機構 九州医療センター 1 0
福岡赤十字病院 0 0
国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 0 0
社)福岡医療団 千鳥橋病院 1 0
医)池友会 福岡和白病院 0 0
公立学校共済組合 九州中央病院 0 0
医)大成会 福岡記念病院 0 0
済生会福岡総合病院 14 0
福岡市民病院 3 2
福岡大学病院 0 0
九州大学病院 0 0
小 計 19 2
合 計 21

実地研修会・学術講演会への参加

  ★実地研修会

  本会で実施している次の事業への研修参加を行っている。
    1. 急患診療事業(福岡市急患診療センター)
       ・・・浜の町病院4回、千鳥橋病院6回予定
    2. 訪問看護ステーション・ケアプランセンター
    3. 臨床検査センター
    4. 学校心臓二次検診


  ★学術講演会
  本会主催の学術講演会へ研修医の参加を募集している。
昨年から実施した講演会の内容は右のとおりである。
福岡市医師会主催「新医師臨床研修指定講座」
講演会名 開催日
医事紛争防止講演会 H16.12.20
医業経営講演会 H17.1.17
第3回福岡市医師会ターミナルケア医養成講座 H17.1.24
平成16年度保険診療と審査に関する講習会 H17.2.4
介護保険主治医研修会 H17.2.14
個人情報保護法講演会 H17.2.16
第4回福岡市医師会ターミナルケア医養成講座 H17.2.18
第5回福岡市医師会ターミナルケア医養成講座 H17.3.12
第9回診療情報開示研修会 H17.3.25
「医学教育における開業医の出番」 H17.4.13
震災フォーラム第1部 H17.4.26
震災フォーラム第2部 H17.5.14
学校腎臓・糖尿病研修会 H17.5.18
福岡市介護保険適正化研修会 H17.5.27
震災フォーラム第3部 H17.7.30

最近の動き

  ★日本医師会
  初期研修を修了した医師の進路に対する関心が高まっている中、日本医師会では卒後3年目以降の医師教育の在り方について検討する為「臨床研修修了後の医師教育に関するプロジェクト委員会」を設置。
委員会の主な検討テーマは @卒前学部教育 A臨床研修・臨床研修後の教育 B専門医制 C生涯教育。
メンバーは医学教育の専門家、有識者、市民などで構成し、厚生労働省や文部科学省からもオブザーバーとして出席。

  ★厚生労働省
  厚生労働省では7月28日に研修医に対する指導や評価法の指針「医師臨床研修指導ガイドライン」を公開。
http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/kenshu-gl/index.html
公表されたのは、第1章「指導体制・指導環境」、第3章「評価方法」、第4章「到達目標の開設」の「行動目標の開設」の各項目。本ガイドラインの中では指導医の役割や研修プログラム、研修医の処遇などについて解説している。

  ★後期研修の合同説明会
  国立病院機構の九州ブロックでは7月30日に福岡市の九州医療センターにて後期臨床研修合同説明会を開催。
九州ブロック内の19施設と関門医療センター(下関市)の計20施設が参加。研修医の参加は約50名であった。

 

<医療情報室の目>
★今後の課題
 2年目を迎えた本研修制度の現場では既に「地域保健・医療」研修が始まっており、地域研修では研修医が基幹病院と連携する診療所や保健所などで地域医療に直に触れる研修となっている。現場での密な研修が行われることが期待されるが、本制度が未だ浸透していないことや費用の問題も残されており、研修医の受け入れ側には温度差があるようだ。本制度の中で医師会が積極的に関わりを持ち、地域全体で研修医を支えていくことで医療への評価も高まるのではないだろうか。
 また、最も大きな課題は2年間の研修を終えた研修医が迎える後期研修である。後期研修について(行政による)明確なガイドラインなどは無いようであるが、各研修病院では既に後期研修のシステム作りが進んでいるようである。
 若い医師の確保が病院にとっての課題であるが、後期研修の在り方について、当事者である研修医へ早めの情報提供と、また、労働力の偏在がおこれば地域医療に大きな影響を与えることからも、医師会を中心に関係機関の調整と協議を重ねることが急務である。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 津 田 泰 夫(広報担当)・入 江 尚(情報担当)・大 木 實(渉外担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)


  医療情報室レボートに戻ります。

  福岡市医師会Topページに戻ります。