医療情報室レポート
 

bS4  

2001年12月21日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集:平成13年をふりかえって 21世紀最初の本年、全世界が米同時多発テロと炭疽菌による生物テロに大きな衝撃と深い悲しみを抱き、国内においても明るい兆しが見えない景気低迷と狂牛病感染の恐怖を憂う、暗く悲しい新世紀の幕開けとなりました。
医療界においても、新しい医療保険制度の枠組みが議論され方向性が示されましたが、当面の財政収支の辻褄合わせに終わり、将来に不安を持たざるを得ない結果となりました。
今回は医師会、厚労省、その他主な出来事について“平成13年をふりかえって”みました。


 
 

医師会関係
 

厚生行政関係
 

主な出来事
 


・日医、進化型オンラインレセプトコンピュータシステム「ORCA」の開発を公表
・市医検査センター広報紙“えんしんぶんり”創刊
・平成12年人口動態統計の年間推計を発表、出生数(118万9000人)、自然増加数(22万8000人)ともに過去最低となった昨年よりやや回復
・中央省庁再編に伴い「厚生労働省」発足
・中央省庁が再編され1府12省庁体制発足
・額賀経済財政担当相がKSD資金提供問題で引責辞任、後任に麻生元経企庁長官
・外務省元室長に機密費横領疑惑(3月逮捕)
・日航機同士がニアミス、42人が重軽傷
・市立川崎病院で50代女性に脳死判定、初の脳死小腸移植とドミノ肝移植


・日医、医師会立准看護婦養成所教務主任連絡会議を開催
・市医、インターネット上に医療情報マップを掲載
・血友病以外で非加熱製剤を投与された患者に対する肝炎ウイルス感染実態全国調査を実施 ・ハワイ沖で愛媛県宇和島水産高の実習船と米原潜が衝突、実習生ら9人が行方不明
・村上正邦前参議院議員会長がKSD汚職事件の責任をとり議員辞職(3月逮捕)
・福岡地裁の次席検事が容疑者の夫の判事に情報漏えい


・日医、医療構造改革構想の全体像を示した「医療構造改革構想−国民が安心できる医療制度をつくるために−」を発表
・市医成人病センターが九大病院と共同で行う「公開鍵基盤を利用した広域分散型糖尿病電子カルテ開発事業」が経済産業省のモデル事業として採択される
・市医、“市民健康情報はーとふるふくおか”創刊
・病床区分の見直し、広告規制の緩和等を盛り込んだ第4次改正医療法が施行
・「医療制度改革の課題と視点」を作成、高齢者医療制度に関する見解を示す
・「医療の安全確保のための対策事例」をまとめ全国の医療機関に配布
・政府与党社会保障改革協議会、「社会保障改革大綱」をまとめる
・サッカーくじ(toto)全国で販売開始
・日銀、金融の量的緩和を初決定
・日医連参与の宮崎秀樹氏が参院繰上当選
・広島沖でM6.4の地震、死者2名他被害
・千葉県知事選で全国3人目の女性知事誕生
・平成13年度政府予算案が成立、厚労省予算
は18兆421万円、前年度比4.5%増
・大阪にユニバーサルスタジオジャパン開業


・日医、医師賠償責任保険の上乗せ保険となる「日医医賠責特約保険」の創設を決定
・坪井栄孝日医会長、勲一等旭日大綬章受章
・市医検査センター、県内共有基準範囲適用
・中医協、国立循環器病センターから申請のあった心臓移植手術を新たに高度先進医療
に承認
・HIV抗体検査と併用して行うHCV抗体検査を10月末まで無料で実施
・医師国家試験合格者発表、合格者8,374人、合格率90.4%、女子の割合31.8%
・国の情報公開制度請求受付開始
・ドメスティックバイオレンス防止法成立、10月施行
・森内閣が総辞職、第87代首相に小泉純一郎氏、厚労相は坂口力氏が再任


・日医、禁煙キャンペーンの展開に向け「禁煙推進プロジェクト委員会」が初会合 ・社会保険庁、「1999年度社会保険事業の概況」を公表、政管健保の給付費総額は前年比1.7%減の4兆2076円と3年連続のマイナス
・「医療安全対策検討会議」が初会合
・浦和、大宮、与野の3市が合併「さいたま市」誕生
・和歌山でケアマネジャーが利用者殺害
・内閣府の総合規制改革会議が発足
・ハンセン病国家賠償訴訟で熊本地裁が原告
勝訴の判決、政府は控訴を断念


・日医「小児救急医療体制のあり方に関する検討委員会」が初会合
・日医、経済財政諮問会議の基本方針に対する「声明」を発表、国民皆保険体制とフリーアクセス、医療の非営利性、プロフェッショナルフリーダム等に留意するよう要望
・日医、禁煙キャンペーンの一環として禁煙に関するテレビCMを放映
・ヒトクローン規制法が施行
・平成12年人口動態統計の年計を発表、合計特殊出生率は1.35と4年ぶりに上昇
・医師免許取得にかかる「欠格条項」を見直す医師法等の一部改正法案が可決成立
・「1999年度国民医療費の概況」発表、国民医療費は30兆9337億円で前年度比3.7%増
・大阪池田市の小学校に包丁をもった男が乱入、児童8人が死亡
・小泉内閣メールマガジンが創刊
・政府の経済財政諮問会議が構造改革に関する基本方針(骨太の方針)をまとめ小泉首相
に答申、閣議決定
・歯科医師国家試験漏えい事件で元奥羽大教授らに有罪判決


・第33回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会が北九州市小倉で開催
・日医、毎日新聞の205円ルール悪用記事に対し厳重抗議、市医もインターネット上に反論記事を掲載
・清沢又四郎第2代福岡市医師会長逝去
・国立病院・療養所の独立行政法人化に関する懇談会を設置
・社会保障審議会に「医療保険部会」など5部会を設置
・2000年度医療費の動向発表、医療保険医療費は前年度比2.1%減の27兆9000億円、介護保険移行により老人保健が7%減の11兆円
・第9回世界水泳選手権が福岡市で開催
・兵庫県明石市の駅歩道橋で花火見物客が将棋倒しになり、死者11人、負傷者128人
・外務省で公金横領事件が次々に判明
・第19回参議院議員選挙で自民大勝、日医連推薦の武見敬三比例代表候補、市医連推薦の福岡県選挙区松山政司候補当選、同古川忠候補は惜しくも次点
・総合規制改革会議が医療分野を含む重点6分野に関する中間とりまとめを公表


・日医「診療情報の提供に関する指針検討委員会」初会合、現行の指針の見直しに着手
・坪井栄孝日医会長著「我が医療革命論」刊行
・第32回中四九地区医師会看護学校協議会が広島市で開催
・市医看護学校50周年記念式典開催
・福岡市医報500号記念
・「平成12年簡易生命表」を発表、平均寿命は男性77.64年、女性は84.62年で男女とも過去最高を更新
・2002年度予算概算要求、前年度予算比3.63%増の18兆7455億円を自民党社会部会・労働部会合同会議に提出
・人事院勧告、基本給の引き上げを2年連続見送り
・小泉首相が13日に靖国神社参拝
・完全失業率、5.0%と過去最悪を記録


・市医理事会にてペーパーレス化を実施
・第38回九州首市医師会連絡協議会が下関市で開催
・ふくおか市民糖尿病教室が第53回保健文化賞を受賞
・市医訪問看護ステーションのスタッフ全員に携帯用パソコンを配布
・日医、厚労省の医療制度改革試案に対する意見を発表
・社会保障審議会医療保険部会が初会合、医療制度改革案の議論をスタート
・医療安全対策検討会議ヒューマンエラー部会、医療安全対策を推進するための標語「安全な医療を提供するための10の要点」をまとめる
・医療制度改革試案を政府・与党社会保障改革協議会に提出>
・新宿歌舞伎町で雑居ビル火災、44人が死亡
・東京ディズニーシー開業
・千葉県で飼育されていた乳牛1頭が日本初の「狂牛病」に感染
・米で同時多発テロ発生、旅客機が乗っ取られ2機が世界貿易センタービル、1機が国防総省に突入、1機がピッツバーグ郊外に墜落、世界貿易センタービルは崩壊
・大手スーパーマイカルが民事再生法を申請
10

・日医、医療制度改革反対署名運動を展開することを発表
・日医、炭疽菌を含む生物テロに関しインターネット上で情報提供
・市医、厚労省の医療制度改革試案に対する市民向け啓発チラシを作成、インターネッ ト上でも広報
・日医、医療保険財政安定のための独自案を自民党医療基本問題調査会・厚生労働部会合同会議のヒアリングに提案
・溝口博第5代福岡市医師会長逝去
・社会保険庁、2000年度政管健保の収支決算を報告、1545億円の赤字
・1999年度医療費マップを公表、初めて老人保健医療費マップを作成、1人当たり老人医療費の最高は福岡県の107万8000円
・米の炭疽菌事件を受け国内における対応策を各都道府県に通知
・病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会、病院薬剤師の人員配置基準を現行のまま据え置くことを決定
・米英がテロ報復でアフガニスタンの攻撃を開始
・米大リーグマリナーズのイチロー外野手がアリーグ首位打者、盗塁王を獲得
・野依良治名古屋大教授にノーベル化学賞
・米で炭疽菌による生物テロ発生
・全国の食肉衛生検査所で食肉処理された全ての牛の狂牛病検査が実施される
・自衛隊の派遣を可能とするテロ対策特別措置法案が可決成立
11

・池田俊彦会員、日本医師会優功賞を受賞
・日医、「医療制度改革に関する5つの反対5つの提案」まとめる
・日医、「患者負担増による医療保険改革阻止署名運動」で500万名を超える署名を集め請願書とともに衆参両院議長に提出
・第40回十三大都市医師会連絡協議会が川崎市医師会担当で客船飛鳥にて開催
・日医、「日医IT化宣言」を行う
・改正予防接種法施行、高齢者に対し公費によるインフルエンザ予防接種が可能となる
・社会保障審議会医療保険部会、「2002年度医療制度改革について」意見書をまとめ坂口厚労相に提出
・政府与党社会保障改革協議会、「医療制度改革大綱」をまとめる
・ニューヨークで旅客機墜落、265人が死亡
・地球温暖化防止の京都議定書を批准
・日本航空と日本エアシステムが経営統合することを発表
12

・日医、医療関係団体と「国民医療を守る全
国総決起大会」を開催
・保健婦助産婦看護婦法の一部改正案が可決成立、看護婦(士)を看護師等へ名称変更
・「2000年医師・歯科医師・薬剤師調査」の概要を公表、全国の医師数25万5792人で人口10万人対医師数が200人を超える
・政府与党、2002年度の医療費改定で診療報酬本体マイナス1.3%、薬価・材料マイナス1.4%計2.7%引き下げの方針固める
・皇太子妃雅子さまが女児ご出産、お名前は敬宮愛子さま
・政府の総合規制改革会議が最終報告書「規制改革の推進に関する第1次答申」を小泉首相に提出


<医療情報室の目>
★将来にわたり持続可能な医療制度を目指した今回の医療制度改革も、当面の財政面の修復にのみ議論の焦点が置かれ、抜本改革の多くが先送りされましたが、今後の改革論議にあっても医療の基本理念が失われることなく、国民が平等に安心して医療を享受できる体制が堅持されることが強く望まれます。日医のリーダーシップに期待するとともに、地域医師会・会員個々においても地域住民に対する日々の啓蒙活動が必要と考えます。21世紀の医療を守るのは我々医師であるという信念に立ち行動していかなければならないと考えますので、会員の先生方のより一層のご理解・ご支援をお願い申し上げます。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 百冨 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 江 頭 啓 介・入 江  尚


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